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最終更新日:2025年12月15日

チャットボットの導入効果とは?事例も交えて詳しく解説

人手不足や働き方改革などを背景に、業務効率化や省人化が叫ばれる中、サポート対応の人員、工数削減やコスト削減などを実現するチャットボットが注目を集めています。
企業の多くがチャットボットを導入する中で、その導入効果としてはどのようなものがあるのでしょうか?
そこで今回は、チャットボット導入によって生じる効果やメリットをご紹介します。

1. 今、チャットボットが注目されている理由

今、チャットボットが大いに注目を集めています。その背景には、人手不足や長時間労働などの問題があり、働き方改革が叫ばれる時代の中で、業務効率化や自動化、省人化ニーズに応えるチャットボットの導入効果に期待が寄せられています。

また、チャットボットが注目されている背景には技術的な進展もあります。AI (人工知能)の技術進展は、自然言語の理解やディープ・ラーニング(機械学習)などの複雑な処理を可能にし、チャットボットが商用として顧客の要望に広く応えられるようになってきました。

チャットボットは、大きくルール通りに応対する「シナリオ型」とAIを使って答えを導き出す「機械学習型」の2種類がありますが、どちらも精度が上がっており、その機能と技術が向上してきています。

2. チャットボットの活用シーン

チャットボットは、顧客対応の自動化に留まらず、多様な部署や目的に応じて利用できる汎用性の高いツールです。

カスタマーサポート(CS)における利用

最も多い活用シーンが、顧客からの問い合わせ対応です。特に、FAQのような定型的な疑問への回答をチャットボットに自動で任せることで、オペレーターはより高度な課題解決に集中できます。24時間・365日対応が可能になるため、サポート時間外の顧客も待たされることなく、すぐに簡単な疑問を解決できます。

社内ヘルプデスク・情報検索

社員からの多い問い合わせ(例:経費精算の方法、社内ツールの利用方法、福利厚生に関する疑問など)に対応する社内ヘルプデスクとしても活用されます。総務や情報システム部の担当者が煩雑な対応に追われる時間を削減し、コア業務に集中できる環境を整えます。社員もすぐに回答を得られるため、業務の停滞を防ぎます。

マーケティング・営業支援での活用

Webサイト訪問者の興味関心に基づき、適切な製品情報や資料請求を自動で提案することで、見込み顧客(リード)獲得に貢献します。チャットボットとの会話履歴をデータとして蓄積し、潜在的な疑問やニーズを把握することで、営業担当者への引き継ぎがスムーズになり、成約率の向上に繋がります。

3. チャットボット導入の効果・メリットとは?

では、企業がチャットボットを導入するメリットや効果にはどんなものがあるのでしょうか?
主なものを3つご紹介します。

1.24時間の顧客対応が可能になる

これまでの顧客対応といえば、オペレーターによる電話やメール、チャットでの対応が主流でした。その点、チャットボットを導入することで、定休日や深夜などの人的対応では難しかった時間帯や曜日も対応が可能です。チャットボットが人に代わって対応してくれるため、コア業務に従事することが可能になり、業務効率化を実現できるという副次的なメリットも期待できます。

2.省力化・コストの削減につながる

チャットボットの導入により、コールセンターやメール、チャットをサポートする部署は、これまで人が行っていた業務の一部をチャットボットが担うことで、省力化とコスト削減の実現などの導入効果が期待できます。また人手不足の中で対応をしていた場合に、チャットボットを導入することで、人手不足を解決するといった効果もあります。

3.問合せ対応品質を一定に維持できる

よくある問い合わせ対応の課題として、品質を一定に保つのが難しいということがあります。チャットボットを導入することで、人による知識や経験の差異に左右されず、回答が感情やストレスに左右されることもありません。また、モンスタークレーマーからカスタマーサポートのスタッフを守る防壁の役割を果たすこともできます。
また品質を保つことで、顧客満足度の向上といった効果も期待ができます。

4.問い合わせ内容の把握ができ、新たな顧客のニーズの収集・分析ができる

チャットボットは、質問の内容や会話の履歴を蓄積することができるため、社外での活用の場合は、顧客からの問い合わせ内容を参考に新たな顧客ニーズの把握、商品やサービスの改善に役立てることが可能となり、社内での活用の場合は、社内における課題や問題点を把握することで、業務における改善に役立てることが可能となります。

5.気軽な問い合わせが可能となる

電話だとハードルが高い、電話をかけるのが苦手というユーザーからも気軽に問い合わせをしてもらえるため、電話よりも多くのユーザーからの質問が寄せられるため、ユーザーとの接点の創出にもつながります。また問い合わせ先が分からない場合にも、チャットボットを導入することで、悩まずに問い合わせができるといったメリットがあります。

6.問い合わせ業務の効果測定が可能となる

カスタマーサポートなどでチャットボットを導入する際、業務の効率化や生産性向上を目的に導入するケースが多く、導入前と導入後の改善状況を問い合わせ件数や対応数などの指標から測定することが可能となります。

4. チャットボットが不得意とする部分を補い精度を高めることが重要

チャットボットは、これらの多くの導入メリットがある一方で、不得意とすることがあります。

チャットボットは、ユーザーからのよくある質問や単純な質問への回答を得意とする一方で、インプットされていない質疑応答については対応できず、回答が間違ったとしてもそのことに気付くことができないという問題点があります。

こうした課題を解決するために、現在は状況や問い合わせの内容によっては有人対応に誘導したり、その都度、シナリオの見直しを図ったりすることで精度を上げていくことが重要となります。
チャットボットだけで完結させようとせず、人的対応とうまく組み合わせて対応していくことも重要といえます。また、チャットボットを設置したことに安住せず、常に精度を上げていくことが、チャットボット導入に対しての効果の向上にもつながります。

5. チャットボットの導入効果を測定する具体的な方法

チャットボットの導入効果を定量的に把握するためには、具体的な測定指標(KPI)を設定し、効果測定を継続的に行うことが不可欠です。

解決率(自己解決率)の測定

チャットボットが一次対応でユーザーの疑問を解決できた割合を測定します。これはチャットボットの性能を示す最も重要な指標です。「チャットボットでの回答後、有人対応へ引き継がれなかった利用の割合」や、「『解決した』というユーザー評価を受けた割合」として計測できます。解決率が高いほど、オペレーターの対応時間削減効果が多いと判断できます。

コスト削減効果の算出

チャットボットが自動で処理した問い合わせ件数をもとに、有人対応した場合の想定人件費を算出します。 例えば、「チャットボットで処理された件数 × オペレーターの平均対応時間 × 時間単位のコスト」という式で、具体的な削減額を算出できます。このデータを可視化することで、投資対効果(ROI)を明確にできます。

平均応答時間と応答時間の改善

顧客の問い合わせに対する平均応答時間が、チャットボット導入前後でどのように変化したかを測定します。チャットボットは即座に応答するため、平均応答時間は大幅に短縮される傾向にあります。これにより、顧客の待ち時間が減少し、顧客満足度の向上に直結します。応答時間の短縮効果は、導入効果として簡単に可視化できます。

6. チャットボットの導入事例 ~活用方法から効果を詳しく解説~

実際にチャットボットを導入した企業では、どのような効果が出ているのでしょうか。
具体的な効果を知るために、実際の導入事例から活用方法と効果をご紹介します。

1)自治体の事例

ある自治体の消費生活相談窓口では、新型コロナウイルス感染症拡大の際、問い合わせが急増し、対応しきれない状況が続いていました。電話回線がパンクし、つながりにくい状態が続いたうえに、FAQを拡充しても項目数が多く消費者にとって必要な情報が探しにくい状況でした。そこで公式サイトにチャットボットを導入し、定型的な問い合わせはチャットボットで対応するようにしました。

効果結果、問い合わせの前捌きとして、チャットボットが機能し、24時間365日問い合わせ対応が可能になりました。消費者がより相談しやすい環境になったほか、チャットボットで回答を返せるため、回答を探す手間も削減できました。


【導入事例】緊急時の問い合わせ対応をフォロー|正しい情報を効率良く伝えることで消費生活の健全化に貢献(大阪府消費生活センター様)

【関連コラム】自治体でのチャットボットの活用例・導入事例、セキュリティ対策を紹介

2)コールセンターの事例

ある企業のコールセンターでは、社内からの問い合わせを受けるチャネルを電話だけでなく、FAQやチャットボットを加えてオムニチャネル化を行うことを検討していました。また社員が素早く必要な情報にたどり着けることも課題でした。
そこでチャットボットを導入し、FAQの用途で社員に使ってもらえるように実装しました。

効果結果、従来の電話に加え、FAQやチャットボットを加えたオムニチャネル化に成功しました。そして電話問い合わせ比率が90%から50%に低減し問い合わせ対応の業務効率化を実現。さらに、自己解決型チャネル活用が定着しました。


【導入事例】電話比率が90%から50%に削減。コールセンターのオムニチャネル化を実現。(リコージャパン CSセンター)

【関連コラム】コールセンターにチャットボット導入をおすすめする理由と成功事例

7. AIチャットボットの導入効果とは

AI(人工知能)を搭載したチャットボットは、従来型のシナリオベースのチャットボットと比較して、はるかに高度な導入効果をもたらします。最も大きな効果の一つは、顧客対応の自動化による大幅なコスト削減です。従来の有人対応では、24時間体制でサポートを提供することが難しく、人件費もかさんでいましたが、AIチャットボットならば、深夜や休日を問わず即座に回答を提供し続けることが可能です。これにより、顧客の利便性が向上し、顧客満足度を高めることができます。

質問解決率の向上と工数削減

AIチャットボットは、ユーザーから寄せられる質問の意図を汲み取り、学習データに基づいて最適な回答を提示します。これにより、一次対応での質問解決率が格段に向上し、オペレーターが対応する必要のある問い合わせが大幅に削減されます。オペレーターは、簡単に解決できる疑問対応から解放され、より複雑で専門的な対応に集中できるため、業務の質を高めることが可能です。結果として、対応業務に割く時間を削減し、企業全体の生産性向上に貢献します。

顧客データの収集と活用

AIチャットボットとの利用履歴は貴重な顧客データとして蓄積されます。どのような疑問が多いのか、どの時間帯に利用が多いのかといったデータを分析することで、製品やサービスの改善点、 FAQの拡充ポイントなどを明確に把握できます。これは、企業のマーケティングやサービス開発において重要なインサイトとなり、顧客体験全体の最適化を促進します。

生成AIチャットボットとは?従来型との違いや活用事例をご紹介

8. まとめ

企業がチャットボットを導入するメリットや効果をご紹介してきました。
チャットボットを導入した後、確実に効果を出していくためにも、有人対応やシナリオの見直しを徹底することが重要です。問い合わせやサポートの人員・工数削減と共に顧客満足度向上を同時に実現させましょう。

リコーでは、チャットボットの導入効果を実績からお伝えすることができます。ぜひお気軽にご相談ください。

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