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ヒューマンエラーの原因12選|ヒューマンエラーの分類や事例、防止策など基礎知識を解説

ヒューマンエラーとは、人間が起こすミスのことです。ヒューマンエラーの回避には、ミスが生じる原因を解明し、対策をとる必要があります。この記事では、企業内のヒューマンエラーの原因や対策について知りたい方に向け、ヒューマンエラーの12の原因や防止策を解説します。安全な職場環境づくりにぜひ役立ててください。

1. ヒューマンエラーとは

ヒューマンエラーとは、人間が思い違いや確認不足によって起こす、ミスや事故のことです。ヒューマンエラーには、うっかりミスのような小さなものから、企業に深刻なダメージを及ぼすものまで、幅広い種類があります。ミスが発生しやすい状態を放置すると、会社は社会的な信頼を失って業績が悪化し、倒産するリスクさえあります。

人間は必ずミスをする

人間は知識のインプットや認識において、思い違いをしやすい生き物です。どのような職場でもヒューマンエラーは起こる可能性があるため、対策を講じる必要があります。例えば、マニュアルや規則の作成は、トラブル回避の代表的な方法です。過去にあったヒューマンエラーに関して情報共有すれば、ミスをできる限り回避できます。

※参考:人間は間違える|ちくま新書|一川誠|webちくま

ヒューマンエラーに分類されないミス

機械トラブルは人間が原因で生じたミスではないため、ヒューマンエラーには分類されません。また、間違ったマニュアルに従ったために生じるミスも、ヒューマンエラーには含まれません。ただし、マニュアルを自社で作成していた際には、マニュアル作成時の検討不足や確認不足などが原因となるため、ヒューマンエラーに分類されます。

ヒューマンエラーの類義語

「人災」や「人為的ミス」は、ヒューマンエラーの類義語です。人災は、自然災害への備えが十分でない場合に発生します。例えば、火災や洪水が発生すると想定できていたにもかかわらず、十分な対策ができていなかったようなケースは人災です。人為的ミスは、経験不足や連絡不足などが原因で生じます。
2. ヒューマンエラーの分類

ヒューマンエラーは、意図して起こるものと、意図せず起こるものの2種類に大別できます。

意図して起こるヒューマンエラー

意図して起こるヒューマンエラーとは、手抜きによって意図的に作業を省略したり、連絡しなかったりして生じるミスです。意図的に起こした行動により発生するエラーは多くの場合、業務の慣熟が背景にあります。

意図せず起こるヒューマンエラー

意図せず起こるヒューマンエラーとは、見落としややり忘れといった、うっかりミスによって生じます。従業員の疲労や焦りなどの精神状態の問題によって、認知力や注意力が低下し、本人や周囲が予測できないケースが多くあります。
3. ヒューマンエラーが多い人の特徴

一般的にヒューマンエラーが多いと言われる人の特徴をご紹介します。

注意力が散漫

ヒューマンエラーが多い人は、注意力が散漫である傾向があります。細部へ注意を払うことを欠くことが多いことでミスが増えやすくなります。

ストレスへの対処が苦手

ストレスを溜め込んだ状態で作業を続けていると、ミスが起こりやすくなります。

作業に対する知識が不十分

ヒューマンエラーが多い人は、作業の手順を正確に理解しておらず、曖昧な理解で作業を進めてしまい、誤った判断や、処理を行ってしまうことがあります。

上司や同僚とのコミュニケーションが適切にとれていない

作業の内容に関して、不明な点があっても上司や同僚に相談することなく作業を進めてしまい、結果としてミスにつながるケースがあります。組織全体でコミュニケーションが取りやすい環境を整える必要があります。
4. ヒューマンエラーが起こる12の原因

職場でヒューマンエラーが発生する12の原因について解説します。

認知ミス

認知ミスとは、先入観や固定観念による思い込みが原因で生じるヒューマンエラーです。初めて見たり聞いたりしたものに対して、あらかじめ抱いていたイメージや見解で判断することにより生じます。認知ミスは無意識によって発生するため、勘違いした理由がわからないケースも多くあります。

不注意

不注意とは、見落としや確認忘れなどが原因で生じる、よくあるヒューマンエラーです。慣れによる手抜きのような、意図的なヒューマンエラーとは異なり、ミスするつもりがなかったにもかかわらず、ついついミスしてしまうケースを指します。

注意や意識の低下

注意や意識の低下は、単調作業によって、注意への配慮が不足することが原因で生じるヒューマンエラーです。見落としや確認忘れといった一般的な不注意とは異なり、業務の慣れや単調な反復作業によって、無意識のうちに意識レベルが低下してミスが発生します。

知識不足や経験不足

業務に関する知識や経験が少なかったことによる、判断ミスが原因で発生するヒューマンエラーもあります。知識や経験不足による間違いは、とくに新人に多い傾向があります。この種類のミスを減らすには、行動に注意するだけでなく、徹底して業務を繰り返すことが重要です。

慣れによる手抜き

手抜きによるヒューマンエラーの発生は、作業の時間を短縮や、慣れによって楽をしようという意思が原因です。手抜きによって、仕事にどのような悪影響があるのかを理解できておらず、危険を軽視している際に生じます。成長過程の新人やベテランが起こしやすいミスの種類です。

集団欠陥

集団欠陥とは、現場の雰囲気のことです。例えば、従業員の安全よりも利益の追求が最優先の空気が会社にある場合、安全に関する集団欠陥があるといいます。集団欠陥によるヒューマンエラーの発生は、個人よりも組織的な要因が大きく影響することに起因します。集団欠陥を解消するには、組織的な改善が必要です。

近道行動・省略行動

近道行動や省略行動によるヒューマンエラーの発生原因は、定められた手順の省略です。技術や知識不足が原因のものと違い、生産性や効率性を追い求め過ぎたことによる、精神的な重圧がミスの背景にあります。近道行動や省略行動の対策には、従業員のコンプライアンス教育が必要です。

連絡不足

連絡不足は、従業員同士のコミュニケーションが、うまくいっていないことが原因で発生するヒューマンエラーです。この手のミスは、とくに複数人が関与する業務で生じやすい傾向があります。連絡不足によるミスを防ぐには、組織としての取り組みが必要です。例えば、社内SNSやチャットツールの利用などによる情報共有が対策としてあげられます。

場面行動本能

場面行動本能とは、ひとつの物事に集中し過ぎて周囲が見えなくなり、他の大切な事柄を見落としたり疎かになったりすることです。場面行動本能は、業務に不慣れな新人に起きやすい現象です。また、複数の業務をこなすマルチタスクの場面でも、予期せぬミスに注意が必要です。

パニック

パニックは、予測できない事態や過度のプレッシャーによって、ヒューマンエラーが生じる原因になります。人間はパニックに陥ると、通常なら容易に判断できる物事を、正常に処理できなくなります。慌てふためいたために生じ得る更なる惨事を防ぐには、直面し得る可能性を事前に想定し、対策を練ることが重要です。

心身の機能低下

心身の機能低下によるヒューマンエラーは、加齢による記憶力や認識力の低下が原因で発生します。とくに、錯覚、不注意、慣れによる手抜きは、経験値の高いベテランでもよく起こるため、注意が必要です。ミスを防ぐための対策には、複数人体制で確認をする方法があげられます。

疲労

疲労は、判断ミスや見落としといったヒューマンエラーの原因になります。残業の多い職場や、勤務体制が厳しい職場では疲労によるミスが発生しやすいため、とくに注意が必要です。疲労が溜まっている現状は、従業員本人も自覚がないケースが多くあります。ヒューマンエラーを防ぐためにも、充分な休息をとることが重要です。
5. ヒューマンエラーの事例

ヒューマンエラーによって企業に大きな損失を生んだ事例を解説します。

株の誤発注|2005年

みずほ証券の担当者が、「1株61万円の売り」を「61万株1円売り」と誤入力して注文し、みずほ証券が400億円の損失を被ったヒューマンエラーの事例です。通常ではあり得ない注文だったため、コンピューター画面には警告文が表示されましたが、担当者は従いませんでした。

「消えた年金」問題|2007年

2007年当時、年金を管理していた社会保険庁で、年金記録が消えたヒューマンエラーの事例です。数十年前の5,000万件分の年金データが基礎年金番号と統合できず、持ち主がわからない年金記録になりました。管理の不備は、年金受給時期が近づいたことにともない発覚しました。

空港での無許可の離陸|2008年

新千歳空港で管制官が、「すぐにテイクオフできるように準備せよ」と指示した内容を、機長が「すぐにテイクオフできる」と、誤解したことによって生じたヒューマンエラーです。乗客や乗員にケガはありませんでしたが、大事故になる可能性があったとして、国土交通省から重大インシデントに認定されました。
6. ヒューマンエラーの防止策

本章では、ヒューマンエラーを防ぐための対策を解説します。

ヒューマンエラーが発生しにくい体制づくり

ヒューマンエラーを防ぐための取り組みをおこなうには、部下が上司にトラブルや懸念事項といった、ネガティブな情報を報告しやすい、風とおしのよい体制づくりが必要です。どのようなヒューマンエラーが発生したのか、対策とあわせて組織全体で情報共有を徹底してください。

マニュアルを作成する

作業フローや手順、確認ポイントなどをまとめたマニュアルの作成は、知識やノウハウの可視化と共有につながります。マニュアルによって作業の全体像や自分の役割が把握できるため、作業の無駄やミスを減らすうえで効果的です。また、やり方やルールが明確になるため、人による情報のバラつきも抑えられます。

過去のヒューマンエラーをリスト化する

過去の失敗事例は、よりよい経営に導くための貴重な情報になります。過去のヒューマンエラーの事例は、大きなミスだけでなく、うっかりミスが原因による些細なものも含めてリスト化しましょう。作成したリストの整理や分析をとおして、ミスが発生した原因を理解し、対策ができているかの精査も可能です。

危険予知トレーニングを行う

危険予知トレーニングとは、従業員それぞれにヒューマンエラーの可能性を気づかせ、危険を事前に予測しながら、注意をもって作業できるようにするトレーニングです。日常の業務に隠れたリスクを予測させる、エラーの発生しやすい場所にラベルや標識を用意する、などのトレーニング方法があります。

発生しうるエラーへの対策を用意する

万が一のヒューマンエラー発生に備え、事前に予測できるエラーの対策を用意しましょう。「何が起きたときにどうすればいいのか」が明確になっていると、ミスが発生した際に、動転することなく冷静に対処できます。対策に則って迅速に対処できれば、被害を最小限に食い止めることができるでしょう。

従業員に「安全最優先」を認識させる

ヒューマンエラーのなかには、大事故や怪我につながるものもあります。利益を優先させ、ミスをそのままにした結果、大きな問題に発展する可能性もあります。トラブルが発生した際には、安全の最優先が最重要という認識を従業員に徹底させることが大切です。

ツールを導入する

ヒューマンエラーが発生しやすい業務については、ツールの導入を検討しましょう。問い合わせ業務のような定型化できる仕事は、機械によって自動化するとミス発生のリスク削減に効果的です。ツール導入は、現場の負担軽減や本業への集中といった、企業の生産性の向上にもつながります。

【参考】チャットボットの活用シーン

7. オフィスにおけるヒューマンエラー

オフィスにおけるヒューマンエラーの例をいくつか例を挙げて説明します。

データ入力ミス

システムや報告書にデータを入力する際、数字や文字を誤って入力してしまうことがあります。例えば、売上金額や、顧客情報など重要な情報を誤って入力してしまった場合は、情報の正確性や信頼性に大きな問題が生じる可能性があります。

メール送信ミス

メールを送信する際、誤った宛先に、メールを送信してしまうことがあります。重要な情報を含んだメールを誤って送信してしまうと、機密情報が外部に漏れてしまいます。

ファイリングのミス

書類やファイルを指定の場所に置かなかったり、正しいファイルに保存しなかったりすると、必要な時に見つけ出すのに時間がかかってしまう可能性があります。

会議スケジューリングのミス

会議の日時や場所を間違えたり、参加予定の参加者を招待していないといったミスがあります。これにより、重要な参加者が会議に参加できなかったり、時間の変更が必要になったりと、混乱を招く可能性があります。
8. チャットボットを活用しヒューマンエラーを防止

ヒューマンエラーの防止策の一つとしてツールの導入を挙げましたが、チャットボットを活用することで問い合わせ対応業務が自動化され、本来人が行う作業が減ることで、ミスの軽減へと繋げることができます。

チャットボットとは、Webサイトやアプリに設置してユーザーの問い合わせに対して適切な返答を行うことができるツールです。これまで有人で行っていた問い合わせ受付業務をチャットボットに任せることで担当者の業務負担を減らすことができ、間接的にヒューマンエラーを減らす効果が期待できます。

9. まとめ

ヒューマンエラーの原因は、認知ミス・不注意・意識の低下・知識や経験不足、慣れによる手抜き・集団欠陥・連絡不足、パニック・心身の機能低下など、さまざまな要因があげられます。問い合わせ業務のように定型化できる仕事は、ツールを導入して機械化することで、ミス発生のリスクそのものを最小化できます。

問い合わせ業務はチャットボットの導入によって定型化することができ、近年、多くの企業で導入の動きが見られています。

【参考】チャットボットを実際に利用している事例を読む

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