ECサイトにチャットボットを導入させる目的やメリットとは?
新型コロナウイルス感染症拡大を受け、人々の消費活動が電子商取引(以下、EC)に移行したことを受け、多くの事業者も業種業界問わずECに参入しています。そのような中、ECサイトをいかに改善するかという視点は重要といえます。
そこで今回は、ECサイト改善のポイントとともに、改善効果が期待できるチャットボットの導入効果や活用例をご紹介します。
コロナ禍を受け、EC事業を新規で始めたものの、ECサイトの改善についてどのように行えば良いのか、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
ECサイトを立ち上げた当初は、いかに販売する仕組みを作るかに力点を置いていたかと思われますが、立ち上げ後は、運用においていかに集客し、売上をアップさせていけるかが肝となってきます。
現在、コロナ禍で多くの企業がECに参入する中、いかに差別化をはかり、ECサイトで売上を上げるかということが重要になってきます。そのため、ECサイト改善は必要不可欠であり、運用しながら継続して行っていくべきものと言えます。
ECサイト改善に取り組もうとした際には、ただ闇雲に気になったところを改善していくというのでは、効率的とは言えません。そこでECサイト改善のポイントをご紹介します。
1.アクセス解析を行い現状分析する
まずはアクセス解析を行い、どの商品のページが多く見られており、どのページの滞在時間が長いのか、また「かご落ち」という商品をカートに追加したのにもかかわらず購入せずに離脱してしまう現象が多い場合、どこがネックとなっているのかなど、問題点を洗い出します。こうした現状分析は非常に重要です。
2.アクセス数を増やす
売上を上げたいという場合は、アクセス数を増やすことが重要です。アクセスが増えればそれだけ商品ページを見てもらいやすくなり、購買につながるからです。
3.ユーザビリティを高める
もしネックになっているポイントを見つけたら、さまざまな改善方法がありますが、一つに、ユーザビリティを高める方法があります。特にトップページからは、商品を探しやすく、見つけやすくするように作る必要があります。また、よくある質問に対してはFAQを用意しておき、疑問点をすぐに解決できるようにしておくことも重要です。訪れたお客様目線に立って使いやすいサイト作りに取り組んでいきましょう。
4.かご落ちを減らす
商品ページのアクセスが多いのに、コンバージョン率が低い場合は、かご落ちが多い可能性がありますので、どこがボトルネックになっているか確認しましょう。
フォームの入力項目が多すぎる、エラーが出すぎる、見にくいといった点を改善することがポイントです。
5.離脱率を減らす
商品ページを閲覧したものの、商品を購入せずに、離脱してしまうケースは決して少なくありません。特定商品ページに離脱が多い場合、何が原因になっているのかを探り、対策を講じることが重要となります。
6.ユーザーの満足度を向上させる
顧客満足度を向上させる観点も、ECサイト改善には欠かせません。先述のユーザビリティの向上も含まれますが、その他、リピーターにはクーポンなどの割引特典を提供する、ユーザーの嗜好に合わせたレコメンド商品を案内するなどの手法を通して、競合サイトとの差別化ともなる、ユーザーの満足度を向上させる要素も必要です。
ECサイト改善のポイントをご紹介しましたが、これらのポイントを押さえるためには、どのような施策が必要になるのでしょうか。その施策の一つの手段が、チャットボットツールをECサイト上に導入することです。チャットボットとは、自動でロボットがユーザーからの入力質問に対して応答するメッセージを返す仕組みのツールで、Webサイトやアプリなどに実装することができます。
チャットボット(Chatbot)とは?│初心者にもわかりやすく解説
ECサイトにチャットボットを導入する目的は複数あります。主な目的をご紹介します。
ユーザーがECサイトに訪れた際、ショッピングを行いながら感じる疑問や質問について、手軽に問い合わせができる手段となります。FAQやよくある質問の代わりになります。これにより、かご落ちや離脱率減少のほか、24時間365日の問い合わせが可能であるため、満足度向上にもつながります。
●時間外の電話受付の代替・一次受付電話のお問い合わせ受付を行っている場合でも、時間外の受付はむずかしいものです。そこで、時間外はチャットボットで受け付けるほか、一次的な受付をチャットボットで行い、オペレーターでなければ回答がむずかしい場合は、チャットボットからスムーズに取り次ぐ仕組みにする方法もあります。
●商品詳細情報の提供商品の詳細情報について、チャットボットで質問すれば追加情報が得られる仕組みにすることで、より商品に関する理解が深まり、かご落ちや離脱率減少、満足度向上につながります。
●問い合わせ対応の業務負担・コスト削減チャットボットでお問い合わせをすべて、もしくは一部を受け付けることができれば、これまで問い合わせ対応していた人員の業務負担や人員コストの削減が期待できます。
●ユーザーとの接点作りチャットボットは、ユーザーとの接点の一つとなります。電話やお問い合わせフォームからの問い合わせはハードルが高いと感じるユーザーであっても、チャットボットなら無人であるため、利用しやすいところがあります。そのため、これまで接点のなかったユーザーとの接点になる可能性もあります。
●カスタマーエクスペリエンスの向上近年、顧客体験を充実したものにするカスタマーエクスペリエンスの向上に注目が集まっています。チャットボットで、ユーザー自身の問題解決がしやすいことそのものも良き体験となりますが、さらにチャットボットで回答するロボットをマスコットキャラクター化し、エンターテインメント性を付与することもできます。チャットボットで顧客体験を楽しいものにすることは、ECサイトの差別化において有効といえます。
ECサイト改善は、チャットボットというツールを導入することで、より効果的に行うことができます。チャットボットとは、ユーザーが入力・選択したものに対して適切な回答を「チャット=会話」ベースで返すシステムのことです。自然に回答を返せるものも増えており、まるでオペレーターと会話をしているかのように問い合わせに対応できる場合もあります。
そこで、ECサイトにチャットボットを導入することで得られる効果と活用例をご紹介します。
チャットボットには、FAQと同じ機能を持たせることができるので、ECサイトで買い物中のユーザーは、何らかの疑問点が生じた際に、チャットボットに手軽に問い合わせができます。回答も瞬時に返すことができれば、ECサイト改善のポイントとして挙げた中で、ユーザビリティの向上や離脱率・かご落ちの低減、ユーザー満足度向上が実現します。
●24時間365日対応できるので利用満足度が上がるまたチャットボットへの問い合わせは営業時間外でも24時間自由に行えるため、その点においてもユーザビリティの向上や離脱率・かご落ちの低減、ユーザー満足度向上に良い影響があります。
●問い合わせ対応業務が削減できるECサイトにチャットボットを導入することによる、問い合わせ対応業務の負担削減の効果は多くの企業で出ています。従来、問い合わせ対応に割いていたリソースをECサイト改善の他の施策に充てることができれば、さらにECサイトはより良き方向に改善していくでしょう。
●会話データを改善に活かせるECサイト改善においては、何よりアクセス状況やユーザーの現状の行動を分析し、ボトルネックを見つけることが重要です。チャットボットの会話データは記録され、蓄積できるので、後から分析することで、ユーザーの本音やボトルネックなどが見えてきて、ECサイト改善に役立てられるでしょう。
ECサイトのチャットボットの設置場所の候補としては、「商品詳細ページ」「カートページ」「決済ページ」があります。
●商品詳細ページへのチャットボットの設置ECサイトの商品詳細ページにチャットボットを設置することで、欲しいサイズや色が見つからない場合や在庫状況が知りたい場合など、ユーザーからのお問い合わせにすぐに回答することができ、ページの離脱を防ぐことができます。
●カートページ/決済ページのチャットボットの設置カートページ、決済ページにチャットボットを設置するメリットとしては、クレジットカード決済がうまくいかない場合や、配送日の日時指定をしたい場合など、特に初回購入のユーザーの疑問をすぐに解消させることができます。
チャットボットと一口に言っても複数の種類があり、主にシナリオ型と辞書型とAI型の3つに分けられます。これらの3つのうち、特にECサイトにおすすめなのはどれでしょうか。まずは、それぞれの種類を確認しておきましょう。
シナリオ型のチャットボットは、ユーザーが示される選択肢の中から、好みのものを選択するのを繰り返していくことで、最終的にユーザーの求める回答を表示するものです。辞書型のチャットボットは、ユーザーが「ポイントは何%?」「配送日数は?」など質問文をフリーワードで入力すると、その質問文を解析してあらかじめ用意された「辞書」から回答を導き表示するものです。AI型のチャットボットは、ユーザーが質問文をフリーワード入力すると、過去に学習した内容や、複数のユーザーと会話を行った記録が蓄積されたログをAIが解析し、適する回答を返すものです。
どれもECサイトに設置すれば、何らかの効果が期待できますが、特にECサイトに最適な種類は、シナリオ型チャットボットです。その理由は主に3つあります。
(1)ECサイトでは決まった質問が多く、シナリオ型で完結しやすい
ECサイトで生じる質問内容というのは、ある程度、決まった内容のものが多いためです。よくある質問をシナリオによって設定しておくことで、ユーザーからの問い合わせをチャットボットに集めることができます。
(2)ユーザーの手間を低減できる
シナリオ型であれば、ユーザーは選択肢を選ぶだけなので、質問文の入力が不要で負荷が少ないというメリットがあります。ECサイトに訪問中のユーザーは、「ものを買いたい」という明確な目的があるため、利便性を重視したい人が多いと考えられます。
(3)導入ハードルが比較的低い
シナリオ型チャットボットは、シナリオを設計する手間はありますが、AI型のように事前に膨大なデータを学習させる必要はありません。また、コスト的にもAI型と比べて安価に済みます。このように導入ハードルが低い点も、ECサイトに向いている理由といえます。
チャットボットの導入を成功させるためには、いくつかの注意点があります。単にツールを導入するだけでは、期待した効果が得られない可能性があるため、実際の運用を見据えて計画することが重要です。
導入目的と課題の明確化まず、なぜチャットボットを導入するのか、自社のECサイトが抱える具体的な課題は何かを明確にする必要があります。「顧客からの問い合わせ対応工数を削減したい」「カゴ落ち率を改善したい」など、目的によって選ぶべきツールや機能が異なります。目的が曖昧なまま導入すると、高額な費用をかけたにもかかわらず効果測定もできなくなってしまいます。
実際の運用体制の構築チャットボットは導入して終わりではありません。実際の問い合わせ内容を分析し、シナリオや回答を継続的に改善(チューニング)していく必要があります。また、チャットボットで対応できない複雑な問い合わせを有人チャットやメールに引き継ぐ体制も重要です。自社の運用リソース(人員、時間)を考慮せずに導入すると、かえって現場の負担が増える可能性もあります。導入成功の鍵は、継続的な運用改善にあると認識しましょう。
既存システムとの連携の確認特にECサイトでは、カートシステムや在庫管理、顧客情報(CRM)との連携が不可欠です。例えば、顧客が「注文した商品の配送状況を知りたい」といった問い合わせをした際に、チャットボットがシステムと連携して自動で回答できれば非常に便利です。連携できない場合、結局オペレーターが確認することになり、導入効果が半減してしまいます。
(1)ECサイトにお問い合わせ用途でチャットボットを設置した事例
病態食・介護食を提供する、あるECサイトは、ECサイトに訪れたお客様向けにチャットボットを設置しています。疑問が生じたらすぐにチャットボットを立ち上げてご利用ガイドから選択式で疑問点を選んでいきます。また、有人オペレーターに問い合わせができるボタンも設置されているため、問い合わせ内容に応じて選ぶことができます。
(2)ECサイトの商品検索ができるチャットボットを設置した事例
ある食品販売のECサイトでは、商品の種類が多いことから、商品検索機能をチャットボットに持たせています。ユーザーはチャットボット上で、フローチャート形式で欲しい商品を見つけられます。フローチャートの階層を深く設定できるので、よりユーザーの希望に沿う形でスムーズに商品検索が可能になっています。
(3)専用アプリにチャットボットを設置した事例
あるファッションブランドは、専用アプリでECを展開しており、アプリ上で手軽に商品を購入できるようにしています。アプリ内にはチャットボットが設置されており、利用ユーザーがショッピングの際に感じた商品に関する疑問や、決済・配送などに関する疑問などを手軽にフリー入力して問い合わせができる仕組みにしています。
その場ですぐにチャットボットが回答を返すので、離脱やかご落ちを減らし、購買促進につながっています。
ECサイトでは、顧客の氏名、住所、電話番号、そして注文履歴といった多くの個人情報を扱います。チャットボットを通じてこれらの情報をやり取りする場合、セキュリティと安全性の確保は最重要事項です。
チャットボット経由での情報漏洩リスクチャットボットのシステムに脆弱性があった場合、悪意のある第三者による不正アクセスを受け、顧客情報が漏洩するリスクがあります。特に、チャット履歴に個人情報が平文で保存されていたり、通信が暗号化されていなかったりすると危険です。自社のセキュリティポリシーを再確認し、チャットボット導入が新たなリスク要因とならないよう、利用する技術の安全性を確認する必要があります。
サービス提供事業者の体制確認チャットボットをSaaS(クラウドサービス)で利用する場合、そのサービスの開発元や提供事業者のセキュリティ体制を確認することが不可欠です。ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得状況、データの管理体制、脆弱性診断の実施頻度などを確認しましょう。万が一のインシデント発生時に、どのような支援体制があるかも重要な選定ポイントです。
安全な運用体制の構築ツール側のセキュリティだけでなく、運用面での対策も必要です。例えば、チャットボットが個人情報を取得する際は、利用目的を明示し同意を得るプロセスを組み込む、技術的にはSSLによる通信の暗号化を徹底する、などが挙げられます。個人情報保護法などの法令改正にも柔軟に対応できるサービスを選ぶことが、長期的な安全性確保につながります。
チャットボットの技術は急速な進化で単なるQ&A対応を超えた役割を担い始めており、顧客体験(CX)を向上させるための「デジタル接客ツール」としての側面が強まっています。
生成AI搭載による対話品質の向上近年の最大のトレンドは、生成AI(ジェネレーティブAI)を搭載したチャットボットの登場です。従来のシナリオ型では対応できなかった複雑な質問や、曖昧な表現に対しても、人間と会話しているような自然で柔軟な回答が可能になりました。これにより、顧客のストレスが軽減され、実際の店舗での接客に近い顧客体験を提供し、購入支援に成功している事例も増えています。
パーソナライズド接客の自動化チャットボットがECサイトのCRM(顧客関係管理)や購買履歴データと連携することで、顧客一人ひとりに合わせた「パーソナライズド接客」が自動化されつつあります。例えば、過去に購入した商品に基づき「〇〇様、こちらの新商品はいかがですか?」といったレコメンドを行ったり、サイト訪問者の行動に応じて最適なタイミングで話しかけたりする技術の開発が進んでいます。
オムニチャネル対応と購入支援顧客との接点はWebサイトだけでなく、SNS、LINEなど多様化しています。これらのチャネルすべてで一貫した顧客対応(注文状況の確認など)を支援するチャットボットが主流です。単なる問い合わせ対応に留まらず、会話の流れで自然におすすめ商品を提示し、費用や仕様を説明するなど、能動的に顧客の購入決定を後押しする役割への期待が高まっています。
ECサイト改善は、現在、ますます重要視されています。ECを始めた事業者は、ぜひ継続的に、ポイントを押さえた上で、ECサイト改善を行っていきましょう。そしてチャットボット導入は、ECサイト改善に役立てることができる有効な方法の一つです。ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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