チャットボットの活用が銀行で増える理由とは?
現在、さまざまな企業で、チャットボットの導入が進んでいますが、中でも銀行等の金融機関での導入も増えています。なぜ銀行でチャットボットの活用が増えているのか、その背景や活用用途、今後のさらなる普及の可能性について解説します。
近年、銀行ではチャットボットの導入が進んでいます。例えば、お問い合わせ窓口の一次対応やカードローンの相談などに利用されています。
例えば、銀行の公式サイトにアクセスしたお客様が、何らかの課題を解決するために、チャットボットに質問をします。すると、チャットボットは、FAQデータベースから候補となる項目を提示したり、オペレーターに適切に引き継いだりして、お問い合わせの一次窓口の役割を果たします。
このように、チャットボットの活用が銀行で増えている背景としては、第一に、ネット上での問い合わせに親和性があるネット銀行の普及と共に、チャットボットの活用が増えていることが挙げられます。
第二に、昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受け、店舗での対面接客に制限があり、チャットボットが顧客との新たなタッチポイントとしての期待が高まっていることが挙げられます。
チャットボット(Chatbot)とは?│初心者にもわかりやすく解説
銀行などの金融業でチャットボットを活用する際、次のような活用方法があります。
1.お客様サポート
お客様からの問い合わせに対して、窓口をチャットボットにする方法です。例えば、ATMの営業時間や手数料を知りたいお客様が、チャットボットに問い合わせを入力すると、即座にATMの営業時間や手数料の案内のあるページへのリンクを提示します。お客様から多く寄せられる質問はチャットボットに登録しておき、お客様がその場で回答を得られるようにすれば、営業時間外でも、お客様対応ができます。
2.接客
口座情報の照会などの接客対応も、チャットボットが行うことができます。例えばお客様がチャットボットの画面を開き、「残高照会」のメニューを選ぶと、チャットボットが過去1週間分の取引明細を最大5件まで表示する機能を実装している銀行の事例があります。
3.サービスのご案内
サービス内容のご案内もチャットボットで可能です。例えばカードローンを新規で契約したいお客様の相談窓口としてチャットボットを機能させることができます。その場合、チャットボット上ではカードローンの商品内容についての質疑応答を行い、もし契約したい段階に至った場合には、オペレーターへの引き継ぎを行います。
●お客様が気軽に問い合わせできる
チャットボットでの問い合わせは、電話よりもハードルが下がることから、お客様から気軽に問い合わせをしてもらえるでしょう。また時間を気にせず、24時間問い合わせができるため、お客様は便利に活用できます。
●お客様に長時間お待たせすることがなくなる
窓口や電話での問い合わせをしても、時間帯によっては混雑し、なかなか問い合わせや相談に至らないことは多くあります。チャットボットを利用すれば、待つこと自体がなくなるため、お客様を長時間お待たせすることがなくなり、ストレスが軽減されるでしょう。気軽にいつでも問い合わせができる点と共に、お客様満足度を向上させることができます。
●窓口業務の負荷を軽減できる
金融機関側にとってもメリットはあります。従業員の業務負担を大幅に軽減できるという点です。チャットボットがすべてを対応することは、まだまだむずかしいですが、簡単な内容やよくある問い合わせであれば、チャットボットに応対をまかせることができ、窓口業務の負荷を軽減できます。業務効率化が叶い、生産性向上につながります。
金融業でのチャットボット活用シーンはこちら
1. 目的設定と要件定義の明確化
チャットボット導入の第一歩は、達成したい具体的なお客様体験の向上や業務効率化の目標を明確にすることです。例えば、「コールセンターの入電数を30%削減する」「個人のお客様からのローンに関する問い合わせ対応時間を短縮する」といった具体的なKGI/KPIを設定します。同時に、対応範囲(FAQ、手続き案内、ログインサポートなど)と、既存システム(FAQシステム、CRMなど)との連携要件を定義します。
2. 対応範囲の設計とデータの準備
次に、チャットボットに学習させるデータ(QAデータ、対話シナリオ)を準備します。特に銀行業務では、専門用語が多く、問い合わせの意図が複雑なため、高品質なデータセットが必須です。また、海外からの問い合わせを想定する場合、多言語対応の要件もこの段階で検討します。
3. プラットフォーム選定とプロトタイプ開発
定義した要件に基づき、AI型、ルール型、有人連携型などのプラットフォームを選定します。その上で、実運用に近い環境でプロトタイプを開発し、テストを実施します。この段階で、自動応答の精度や、検索機能の使いやすさを検証します。
4. 既存システムとの連携とテスト運用
開設したチャットボットを、既存のサイトやアプリに組み込みます。重要なのは、法人や個人の口座情報など、機密性の高い情報を取り扱う際のセキュリティ連携です。セキュリティ監査を徹底し、一部のお客様に対して限定的にサービスを提供するβテスト運用を開始します。
5. 本格運用と継続的な改善
テスト結果に基づき、対応漏れや誤回答を修正した上で、全お客様を対象に本格運用を開始します。チャットボットは導入して終わりではなく、対話ログを分析し、学習データを定期的に更新していくことが重要です。これにより、常に最新のサービス情報を提供し、精度を維持します。
以下ではチャットボット導入時の注意点を3つ解説します。
セキュリティとコンプライアンスの遵守
銀行がチャットボットを導入する際、最も重視すべきはセキュリティです。お客様の個人情報や機密性の高いローン情報を取り扱うため、情報漏洩対策は徹底する必要があります。チャットボットがログイン情報や口座番号を直接聞き出さない仕組みや、通信の暗号化は必須です。また、金融商品取引法などの規制に準拠した回答を自動生成するための仕組みも重要です。
有人対応へのスムーズな連携(ハイブリッド運用)
AIによる自動応答だけでは、全ての複雑な問い合わせに対応することは困難です。個人の複雑な手続きや、法人の専門的なローンに関する問い合わせなど、AIで解決できない質問は、シームレスにオペレーターに引き継ぐ「ハイブリッド運用環境」を構築することが、お客様満足度を保つための大きなポイントです。アプリやサイトからの引き継ぎ時に、これまでの対話履歴も共有できるように設計します。
データ整備の徹底と検索精度向上
チャットボットの回答精度は、学習データの質に比例します。銀行が取り扱う商品やサービスに関するFAQ、約款、マニュアルなどのデータを網羅的に収集し、精度の高い学習データとして整備することが重要です。特に開設手続きなど、頻繁にルールが変更されるトピックについては、常に最新情報を反映させる運用体制が求められます。
近年、実店舗を持たないネット銀行が多く普及する中、銀行と顧客とのコミュニケーション方法にも変化がみられます。「銀行への問い合わせ=窓口・電話」という図式はもはや過去のものとなっています。
例えば、あるネット銀行は親しみやすいキャラクターを用いてLINE上でチャットボットを実装し、問い合わせ対応を行っています。
今後は、顧客が普段から頻繁に利用するLINEなどと連携を行うことで、チャットボットはネット銀行との相性がますます高まると予想されます。
●RICOH Chatbot ServiceがLINE WORKS・LINEと連携
リコーのチャットボットサービスRICOH Chatbot Serviceは、2020年11月16日にバージョンアップし、LINE及びLINE WORKSとの連携が可能になりました。
顧客とのコミュニケーションツールとして利用できるLINEを、RICOH Chatbot Serviceと連携させることで、顧客からの問い合わせに対する窓口にすることができます。
またLINE WORKSは、主に組織のメンバー同士のビジネスコミュニケーションツールとして利用されるものですが、そこにチャットボットを連携させることで、社内問い合わせや社内ヘルプの窓口の機能を持たせることができます。例えば会社の福利厚生についての従業員からの問い合わせを、チャットボットがRICOH Chatbot Serviceに登録したFAQデータに基づいて、24時間回答するといったことができます。
これにより、顧客や従業員は、普段から利用しているLINEやLINE WORKS上で、知りたい情報に手軽にアクセスできるようになり、満足度が向上します。また、その手軽さから利用率向上につながり、問い合わせを受ける側の負担軽減や生産性向上にもつながるでしょう。
【関連情報】
LINE WORKSとチャットボットの連携で社内の問い合わせ業務を削減
LINEとチャットボットの連携でお客様とのコミュニケーションを強化
複雑な問い合わせへの高度な自動対応
従来のチャットボットが苦手としていた、複数の質問が組み合わさった複雑な問い合わせや、意図が曖昧な質問に対し、生成AIは文脈を理解し、人間のように自然な回答を自動で生成できます。例えば、「個人口座を開設したいが、ローンの審査状況も知りたい」といった複合的な要望にも、個別の手続きページへのリンクだけでなく、要点をまとめた回答文を提供できるようになります。
お客様へのパーソナライズされた提案
生成AIは、CRMデータと連携することで、お客様一人ひとりの取引履歴や属性、過去の検索履歴に基づいた超パーソナライズされた提案が可能になります。例えば、過去に海外送金サービスの利用経験がある法人のお客様に対しては、為替レートや送金手続きに関する具体的な情報を含めた提案をサイト上でリアルタイムに行えます。これは単なるFAQ応答を超え、デジタル接客の環境を根本から変えるものです。
ログイン不要の対話型アプリ体験
将来的には、本人確認済みのアプリ内であれば、ログイン状態を維持したまま、生成AIが個別の残高照会や取引状況に関する質問にもセキュアに自動で対応できるようになる可能性があります。これにより、お客様はより直感的で、ストレスフリーな銀行サービスを利用できるようになります。
金融業において、特にチャットボットの導入が進んでいる背景や活用用途、今後の可能性についてご紹介してきました。金融業にとって、チャットボットの導入は数多くのメリットがあります。導入を検討される場合には、ぜひお気軽にご相談ください。
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