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チャットボットのAPI連携
– 利便性を高め満足度を飛躍的に向上

最近は、サービスページやアプリ上などで企業がチャットボットを活用しているのをよく見かけるようになりました。中でもLINEのような外部ツールにチャットボットを設置しているのを見て「どのように設置しているのだろうか?」「自社もやってみたい」などと考えている人もいるかもしれません。これらは一般的に、APIという仕組みを使ってチャットボットシステムと連携しています。今回は、チャットボットとAPI連携の仕組みやメリット、活用例をご紹介します。

1. チャットボットのAPI連携とは?

チャットボットのAPI連携とは、APIという仕組みを使い、チャットボットを外部ツールと連携させることです。例えば、LINEやFacebookメッセンジャー、Microsoft Teamsなどのチャットツール上に、自社のチャットボットを設置し、展開することができたり、CRMと連携することでお客様のチャットボット利用状況の管理が容易になるといったメリットが得られます。

では、そもそもAPIとはどのような意味なのでしょうか。APIとは「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の頭文字を取ったものです。インターフェースとは、「何かと何かをつなぐもの」という意味があります。つまりAPIは、アプリケーションとプログラムをつなぐ役割をするものです。

例えば、AというアプリケーションとBというプログラムにAPI連携機能が備わっていたとします。Bというプログラム上で、Aというアプリケーションが使えるようにしたいというときに、AとBをAPI連携させることで実現します。

具体例を出します。ある飲食店が店舗の公式ホームページを作り、そこに店舗の地図を載せたいと考えました。地図を載せる方法は、色々な方法が考えられる中、GoogleMAPを表示する方法があります。GoogleMAPはAPI連携が可能であるため、ホームページのプログラムと連携させることで、掲載することができます。

チャットボットについても同様のことがいえます。例えばLINEにはAPI連携機能が備わっているため、チャットボットシステムにAPI連携機能が備わっていれば、LINEと連携できます。つまりLINE上にチャットボットを展開できるようになるのです。

API連携で外部システムの情報をリアルタイムでチャットボットに反映

2. チャットボットのAPI連携のメリット

チャットボットのAPI連携を利用することで、チャットボットの活用の幅が広がります。主に、次のようなメリットが生まれます。

利用ユーザーの利便性が高まることもある

チャットボットのAPI連携の一番のメリットは、利用ユーザーの利便性が高まることや、それに伴って利用率が上がる可能性があることです。例えば、自社サイトにチャットボットを設置していても、自社サイトにアクセスしなければ使えません。一方で、ユーザーが普段から使い慣れているLINEやTeamsといったツールでチャットボットが使えるのであれば、スマートフォンアプリ上で手軽に使うことができます。利便性が上がるほか、利用のハードルが下がり、より親しんで使ってもらえるようになるでしょう。

開発の効率化が図れる

API連携を行うことは、一からプログラミングをして開発するのと比べて、大幅に開発の効率化が図れます。API連携はプログラミングを行う必要がなく、簡単な記述だけで可能になることが多いです。スピーディーに導入が図れるでしょう。

低コストで利用開始できる

API連携で実装することは、開発コストの低減にもつながります。低コストで手軽にチャットボットが希望の外部ツール上で展開できるようになります。

3. チャットボットとAPIを連携する際に注意すべきポイント

チャットボットのAPI連携を検討する際には、ぜひ次のことを注意しましょう。

1.API連携を行う目的を明確にする

例えば社内のLINE WORKSやTeamsにチャットボットツールをAPI連携させたい場合、業務の効率化の実現など、目的があると思います。その目的を明確にすることで、適したチャットボットツールを選定することができます。

【関連コラム】 ChatGPTを社内で利用する際に注意すべきこととは? ChatGPT連携サービスとは?連携できるサービスをご紹介

2.活用場面やユーザーに適した設置場所やチャットボットツールを選ぶ

設置場所もよく検討することが必要です。例えばECサイトの問い合わせ受付をLINE上のチャットボットで行う場合、ECサイトとの接続や動線はどうなっているのかを考えなければなりません。面倒な遷移が必要だとユーザーに使ってもらえません。一方で、LINEをよく活用するユーザー層であれば、Webサイト設置よりもLINE上のチャットボットのほうが適しているかもしれません。
このように活用場面やユーザーに適した設置場所やチャットボットツールを選ぶことをおすすめします。

3.API連携の対応や手順を確認する

導入するツールを比較検討する際には、API連携に対応しているか、また連携手順をよく確認しましょう。無料トライアル期間でAPI連携を試してみるなどしてスムーズに連携できるか、また動作も確認して問題なくチャットボットや管理画面が使えるかもよく確認するのをおすすめします。

4. 導入してから効果が出るまでに時間がかかる

チャットボットを導入したからといって、すぐにその効果が出るわけではありません。ユーザーへの周知や、導入後の対応の教育を従業員へ行う必要があります。またユーザーの使い勝手がどうなのかを確認し、最適な仕様への改善も行っていく必要があります。AI搭載型のチャットボットの場合、AIが機械学習しながら精度を高めていかなければいけません。そのため、データを収集するために、ある程度の時間と、情報量を蓄積する必要があります。

5. チャットボットに詳しい人材の確保が必要

チャットボットは、プログラミングの知識がない担当者でも運用することは可能です。ただし、運用開始した後も、ユーザーに合わせた内容に、メンテナンスをしていく必要があります。そのため、運用については専任の担当者を決め、定期的なメンテナンスや、問題の解決にすぐに対応できる体制を整えておきましょう。

4. チャットボットとAPIの連携活用例

チャットボットをAPI連携する場合、どのようなパターンがあるのか、具体的にご紹介します。

LINEやFacebookメッセンジャーやSlackなどのメッセージングアプリに連携

例えば、コールセンターなどで一般消費者を相手にものを販売したり、コミュニケーションを取りたい企業がチャットボットを展開する場合は、自社ホームページや自社アプリと連携するのが一般的です。そうした中、API連携によって一般消費者が日常的に利用しているLINEやFacebookメッセンジャー、Slackなどのメッセージングアプリにチャットボットを設置すれば、より利用ハードルが下がり、利用頻度が上がって、顧客とのコミュニケーションの機会が増えるでしょう。


【関連コラム】問い合わせ対応業務でLINE WORKSとチャットボットを連携させるべき理由とは

Microsoft Teams、SharePointなどの社内ツールに連携

社内向けにヘルプデスクなどのFAQチャットボットを展開したいが、社内ポータルサイト上に設置しても利用者数が増えないという場合、社内で利用しているビジネスコミュニケーションツールであるTeamsや、ファイル・情報共有ツールであるSharePointに連携する方法があります。
普段、社員が頻繁に利用するツール自体に、チャットボットをAPI連携することで、利用までのハードルが下がり、利用率が上がるでしょう。

またTeamsとチャットボットをAPI連携することで、社内業務の標準化といった効果があります。マニュアルやノウハウをチャットボットに事前に登録しておくことで、質問が発生した際などに、チャットボットを通じて回答が得られるため、社内の知識の標準化を図ることができます。
その他にも、社員からの質問や問い合わせが、チャットボットに日々蓄積されるため、そのデータを活用して、業務における課題や改善点を抽出することができます。

自社ですでにTeamsを導入している場合は、チャットボットとAPI連携することで得られるメリットも多いため、自社の課題や導入目的に合わせて検討しましょう。


【関連コラム】Microsoft Teamsとチャットボットを連携し、効果的に活用が可能に

チャット利用の履歴を外部システムに送信

チャットボットからの問い合わせに応じられなかった場合、コールセンター等に引き継ぎ、有人対応する企業は多くあります。そうした場合、コールセンターのオペレーターに引き継ぐ際に、事前にユーザーが何をチャットボット上で問い合わせたのかを知ることができればスムーズです。その場合、チャットボットとコールセンターシステムをAPI連携することで、チャットボットの履歴をコールセンターシステムに配信するという利用方法もあります。

5. APIを活用したチャットボットとLINEの連携方法

APIを活用しチャットボットとLINEを連携する方法と仕組みをご紹介します。

LINEの「Messaging API」とチャットボットを連携する仕組み

LINEでは、Messaging APIを使って、チャットボットを自社のLINE公式アカウント上で運用することができます。
LINEとチャットボットを連携させる際には、「LINEプラットフォーム」を介して行います。LINEプラットフォームの「チャネル」という部分に紐づけると、LINE公式アカウント上でチャットボットが動作します。チャネルとは、Messaging APIやLINEプラットフォームが提供する機能において、チャットボットなどの外部ツールを利用するための通信路のことを指します。
ユーザーがLINE公式アカウントのトークルーム上のチャットボットに質問を入力すると、LINEプラットフォームを通じてチャットボットサーバーにデータが送信されます。するとデータを受け取ったチャットボットサーバーは質問に対する適切な回答を探し出し、作り上げます。その後、LINEプラットフォームを介してデータとして送信し、トークルーム上で応答します。

LINEとチャットボットを連携する方法

実際に、Messaging APIを用いてチャットボットを連携させるには、LINEプラットフォームにチャネルを作成する必要があります。チャネルを作成する方法には、「LINE Developersコンソール」で作成する方法と、既存のLINE公式アカウントにチャネルを追加する方法との2通りがあります。
チャネルが作成できたら、LINE Developersコンソールにログインをして、チャットボットの設定を行います。詳細については、「LINE Developers」の公式サイトにあるドキュメントを参照してください。

6. チャットボットとLINEのAPI連携事例

実際に、LINEとチャットボットのAPI連携機能を活用している企業の事例をご紹介します。

コンビニエンスストアの事例

コンビニエンスストアの事業を展開する企業は、公式LINEアカウントにイメージキャラクターと会話ができるチャットボットを導入しています。しりとりやゲームなどのやりとりができるチャットボットツールと連携しており、自由度の高いコミュニケーションが可能です。
またキャラクターと会話をすることで店舗情報やクーポン情報を引き出せるほか、天気予報やゲームなど、会話をしていることそのものを楽しめることから、人気となっています。
人気の背景には、コンビニエンスストア利用者層とLINEがマッチしていることや、会話だけではないエンターテインメント性があることが挙げられます。

学習参考書の出版会社の事例

出版会社の小中学生向けの学習参考書を出版する部門では、小中学生の読者はもちろんのこと、その保護者とのコミュニケーションを目的に公式LINEを運用しています。
そこへLINEのMessaging APIを用いてチャットボットツールとも連携しており、ユーザーの問い合わせに対し、チャットボットでの受け答えや、ユーザー様にとって有益なコンテンツの配信などが自動的にできる仕組みを構築しています。書籍という商品の特性上、直接読者とコミュニケーションをとりづらい中、うまくLINEを用いてつながりを作りました。

7. チャットボットとkintoneのAPI連携

続いて、チャットボットとkintoneのAPI連携についてご紹介します。

チャットボットとkintoneの連携の手順

チャットボットとkintoneの連携手順はチャットボットのサービスによって異なりますが、一般的には、連携しているサーバーの管理コンソールなどから、新しい接続先としてkintoneを選択し追加します。また連携を行う前に、あらかじめチャットボットと連携して使用するkintoneアプリの構築が必要です。そのkintoneアプリに対して、API連携させたチャットボットのシナリオやQ&Aといったデータを追加していきます。
またkintone上にチャットボットを設置する場合には、チャットボットから発行された埋め込みタグなどを設定して設置することになります。

チャットボットとkintoneの連携活用

チャットボットとkintoneを連携させた活用例についてご紹介します。
まず社内向けの活用例として、営業担当者の日報をチャットボットから入力する活用方法があります。会社の営業部門で、kintoneと連携させたチャットボットに対し、1日の終わりに営業担当者が日報をチャットボットから入力する仕組みを導入しました。入力された営業結果などがkintone上にすぐに蓄積されていくため、日報の管理が容易になりました。

次に社外向け活用例として、顧客からの問い合わせをチャットボットで受付ける活用方法が考えられます。顧客からの資料請求やお問い合わせをkintoneに連携させたチャットボットで受け付ける仕組みを導入。受け付けた問い合わせ情報や顧客情報はkintone上に蓄積され、そのまま顧客管理ができるので、利便性が向上し、業務効率化につながります。

8. チャットボットとChatGPTのAPI連携

チャットボットにChatGPTをAPI連携した活用方法をご紹介します。

社内ツール

ChatGPTを連携したチャットボットを社内で活用することにより、大量のデータを基に迅速かつ正確な回答を提供することが可能です。
またこれまでの調査や業務処理にかかる時間を削減し、作業の効率化と品質の向上が期待できます。24時間365日対応可能で、より自然な言葉での応答が得られるため、ユーザーの操作感も改善されます。

カスタマーサポートの問い合わせ対応を自動化

チャットボットを使っての問い合わせ対応の自動化は進んできていますが、あらかじめ用意された回答では十分でない場合もあります。
ChatGPTを連携したチャットボットを活用することで、ユーザーが求める情報をより詳細に、かつ具体的に提供することが可能です。
チャットボットの管理や、運用面での負担を軽減し、24時間365日対応できるというメリットを活かし、問い合わせ業務の効率化に大いに寄与します。

ユーザーデータの自動分析

ChatGPTを連携したチャットボットは、ユーザーとの会話から自然言語を学習し、テキストデータを自動で分析することができます。
蓄積されたデータをもとに、より詳細な情報を提供するだけでなく、新しい企画立案や、未知のニーズの発掘、具体的な提案も可能になるため、ビジネスの可能性を広げるツールとして活用が見込めます。

9. チャットボットAPIを5つ紹介

チャットボットAPIとは、チャットボットの機能部分でもある、問いかけに対して、会話のようにコミュニケーションをとるAPIのことです。
チャットボットAPIには、さまざまな種類がありますが、今回は以下の5つを紹介します。

1.LINE Bot Designer

LINE Bot Designerは、LINE上でチャットボットを導入できるAPIのことで、LINEのアカウントを持っていれば、無料で利用が可能となるため、公式アカウントを持っている企業におすすめのチャットボットAPIです。

2.IBM Watson Assistant

IBM Watson Assistantは、AI搭載のチャットボットAPIのことで、自然言語処理に優れており、音声変換にも対応しているため、チャットボット以外のAIツールとしてもすぐれているといった特徴を持つ、チャットボットAPIです。

3.Google Dialogflow

Google Dialogflowも、AI搭載のチャットボットAPIです。Googleのもつ膨大なデータが活用ができ、30以上の言語に自動で対応ができるといった特徴を持つ、チャットボットAPIです。

4.Microsoft Azure bot service

Microsoft Azure bot serviceは、Microsoft社が提供するクラウドサービス上で作成・管理のできる、AI搭載のチャットボットAPIです。SDKと呼ばれるソフトウェア開発キットやテンプレートを活用することができるため、スピーディーにチャットボットの開発が可能となります。

5.Facebook Messenger

Facebook Messengerは、Meta社が公開しているFacebookとInstagram向けのチャットボットAPIです。チャットボットAPIです。Instagramへの広告投稿もチャットボットで対応できるため、リード獲得などマーケティング活動での活用も可能となります。

10. リコーのチャットボットはAPI連携機能を搭載

API連携は今、多くのアプリケーションやプログラムの連携に活用されています。チャットボットについてもさまざまな活用用途で連携がされており、開発の手間を削減しながらスピーディーに導入・実装できるほか、ユーザーの利便性向上、利用率向上が図られています。
その他にもチャットボットAPIを活用することで、導入プラットフォームが限られますが、スピーディーにチャットボットの導入ができ、導入のコストが抑えられるといったメリットもあります。

リコーのチャットボット「RICOH Chatbot Service」にもAPI連携機能が備わっており、LINEやLINEWORKS、Teamsなどのツール連携が可能です。詳細は以下のサービスページをご覧ください。

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