AIチャットボットで問い合わせ業務を効率化|
事例や導入時の注意点

AIチャットボットは、社内外問わず、問い合わせ業務を効率化するための有力なツールとして、多くの企業で活用されています。
本コラムでは、AIチャットボットの概要から具体的な導入事例や注意点を通じて、AIチャットボットの効果的な活用方法をご紹介します。
はじめに、問い合わせ対応によくある課題と原因について解説します。
●よくある課題
1. 問い合わせ数が多く担当者の負担が大きい社外の問い合わせでは、企業が提供する製品やサービスの利用者、社内の場合は、従業員が増えるにつれて、問い合わせの数も比例して増加します。特に、キャンペーン期間中や新製品の発売時期など、特定のタイミングで問い合わせが急増することがあります。こうした状況下で、担当者が一つ一つの問い合わせに対応するのは非常に時間がかかり、結果として対応が遅れることがあり、顧客満足度の低下や対応者のパフォーマンス低下が懸念されます。
2. 対応の品質が統一できない問い合わせ対応の品質が安定しないことも大きな課題です。例えば、担当者によって回答が曖昧であることや、対応が遅れることがあります。顧客は一貫性のない対応に不満を抱くことが多く、企業への信頼を失う可能性があります。
3. 属人化特定の担当者に依存した情報管理は、企業の対応力を低下させる要因です。担当者が不在の際には、対応が滞ることがあります。情報が個人に依存してしまうと、業務の継続性が損なわれ、企業全体の効率が低下する可能性もあります。
4. 回答待ち問い合わせに対する回答が遅れることも、顧客の不満を招く大きな要因です。特に、問題が緊急を要する場合や、製品やサービスの利用に直接影響を及ぼす場合には、迅速な対応が求められます。
●原因
1. 社内マニュアルが分かりづらい・整備されていない業務の標準化やマニュアルの整備が不十分であると、担当者が自分で解決できる問題であっても問い合わせが発生しやすくなります。これにより、業務の属人化が助長され、対応が特定の担当者に依存することになります。したがって、業務の仕組み化やナレッジの共有を進めることが重要です。
2. FAQの質がよくないFAQが顧客の疑問を解決できるものでない場合、問い合わせが増加します。FAQの内容が古かったり、分かりにくかったりする場合は、定期的に見直しを行い、顧客のニーズに応じた改善が必要です。
3. 業務時間外の対応ができない多くの企業が営業時間内にしか問い合わせ対応を行っていないため、業務時間外に問い合わせが発生した場合、顧客は翌営業日まで待たなければならないだけでなく、担当者の対応も溜まるため、負担が増加します。特に、グローバルに事業を展開している企業では、時差による問い合わせが発生することが多くあります。
4.対応担当者のスキル不足・研修不足担当者が適切な知識やスキルを持っていない場合、顧客の問い合わせに迅速かつ正確に対応することが難しくなります。定期的な研修などを通じて、担当者のスキルアップを図ることが求められます。
5. リモートワークの普及テレワークの普及により、オフィスで直接相談できる問題が、問い合わせとして発生することが増えています。これに対応するためには、テレワーク環境でもスムーズに情報共有ができるシステムの導入などが重要です。
上述のように、問い合わせ対応には様々な問題がある中で、対応を効率化して顧客満足度を高めるために、AIチャットボットの導入が進んでいます。以下では問い合わせ対応を効率化するAIチャットボットについて詳しく解説していきます。
AIチャットボットとは、あらかじめ学習させたデータを基に、AIが統計的に正しいと判断した内容を自動で回答するシステムです。
AIチャットボットの特徴として、機械学習を通じて応答の精度を向上させることができるため、従来のルールベース型のチャットボットでは対応できなかった複雑な質問にも対応できます。ルールベース型では、事前に設定されたルールに従ってのみ回答するため、登録されていない内容には対応できませんでした。しかし、AIチャットボットは、データとログの蓄積により、より自然な会話が可能になります。
●問い合わせ対応にAIチャットボットを利用するメリット
続いて、AIチャットボットを問い合わせ対応に利用するメリットを詳しく解説していきます。
1. 顧客対応や社内問い合わせ対応の削減が図れる まず、顧客対応や社内の問い合わせ対応にかかる負担を大幅に削減することが期待できます。AIチャットボットを活用することで、簡単な質問や定型的な問い合わせに対して自動的に応答することができます。これにより、待ち時間が大幅に短縮されるだけでなく、スタッフはより複雑な問題に集中でき、業務の効率化が図れます。
2. データマーケティングに活かせる チャットボットを通じて得られたデータをマーケティングに活用することも可能です。チャットボットは、顧客との対話を通じて得られる情報を蓄積し、分析することができます。これにより、顧客のニーズや行動パターンを把握し、マーケティング戦略の改善や新製品の開発に役立てることができます。データドリブンなアプローチを採用することで、企業はより効果的なマーケティング活動を展開することが期待できます。
3. 24/7対応が可能になる AIチャットボットの大きなメリットとして、24時間365日の対応が可能である点が挙げられます。人間の問い合わせ担当者は勤務時間に制約がありますが、チャットボットは常に稼働しており、いつでも顧客の問い合わせに対応できます。そのため、異なる国に住む顧客や、深夜に問い合わせを行うユーザーにも対応することが可能となり、グローバルなビジネス展開においても大きな強みとなります。

続いて、リコーのAIチャットボットで問い合わせ対応を効率化した事例をご紹介します。
●お客様からの問い合わせ業務を削減、効率化した事例
事例1: 株式会社西武プロセスイノベーション さま AIチャットボットの導入により、問い合わせ対応を効率化した事例として、株式会社西武プロセスイノベーションの取り組みをご紹介します。同社は、西武グループの会員サービス「SEIBU PRINCE CLUB」の運用を担い、多様な顧客からの問い合わせに対応する必要がありました。これまでは主にコールセンターでの電話対応が中心でしたが、営業時間の制約や問い合わせの増加により、Webサイト上でリアルタイムに顧客の疑問に答える必要性を感じていました。
そこで、RICOH Chatbot Serviceを導入することで、問い合わせ対応の効率化を図りました。このサービスは、簡単にQAの内容を修正でき、状況の変化に柔軟に対応できる機能を持っています。結果として、月に2,000件以上の問い合わせがチャットボットを通じて処理されるようになり、Webサイト上での問い合わせ対応ニーズに応えることが可能となりました。
さらに、チャットボットへの問い合わせ内容を分析することで、顧客の潜在的なニーズや困りごとを可視化し、サービス向上につなげることができました。これにより、コールセンターの応答率を90%以上に維持し、顧客満足度の向上にも寄与しています。今後は、電話やWebサイトなどの顧客接点を一元化し、よりスピーディーかつ的確な情報提供を目指す「コンタクトセンター」への進化を視野に入れています。
事例2: 株式会社ヨシケイ埼玉 さま 続いて、株式会社ヨシケイ埼玉の取り組みを紹介します。同社は、新型コロナウイルス感染症の影響で時短勤務を導入し、電話問い合わせ対応時間の短縮が課題となっていました。これに対し、RICOH Chatbot Serviceを導入することで、24時間365日対応可能な体制を整え、顧客サービスの向上と電話問い合わせ数の削減を同時に実現しました。
ヨシケイ埼玉は、1977年の創業以来、栄養バランスに配慮したミールキットを提供し、素材にもこだわりを持っています。近年、共働き家庭の増加により、同社のサービス需要が高まりましたが、電話対応が苦手な顧客や時間外の問い合わせに対応できていないという懸念がありました。そこで、チャットボットを活用することで、顧客がインターネットを介して気軽に問い合わせできる環境を整えました。
ツール管理のしやすさや、サポート内容の充実から、RICOH Chatbot Serviceの採用頂き、導入後は、問い合わせ内容に対する迅速な回答が可能となり、特に若い世代を中心に新規申し込みが増加しました。また、チャットボットを通じた顧客対応のQ&A整備により、従業員の対応力も向上しています。
今後は、チャットボットを通じて、商品の正しい知識を提供し、顧客に安心感を与えることや、同社の強みを広くアピールすることを目指しています。さらに、Q&Aの拡充や精度向上を図り、電話やメールと並ぶ問い合わせ窓口としての成長を期待しています。
事例3: 株式会社快活フロンティア さま 株式会社快活フロンティアは、シェアリングスペース「快活CLUB」やコミュニケーションスペース「コート・ダジュール」、24時間フィットネスジム「FiT24」などを展開し、事業の拡大に伴い問い合わせ数が増加していました。この課題に対して、快活フロンティアはRICOH Chatbot Serviceを採用し、人員を増やさずに月3万件の問い合わせを処理する体制を構築しました。
導入前は、24時間365日のサービス提供に対し、夜間や早朝の問い合わせ対応が難しく、顧客の要望を十分に把握できていないという課題がありました。しかし、RICOH Chatbot Serviceの導入により、これらの課題を解決。AIの学習機能や操作性の高さにより、問い合わせ対応が自動化され、顧客満足度の向上に寄与しています。特に、FAQの整備によって問い合わせ対応の品質も向上し、顧客の声を可視化することで、新サービスの開発につなげることが可能になりました。
●社内問い合わせ業務を削減、効率化した事例
事例1: 佐川グローバルロジスティクス株式会社 さま AIチャットボットの導入により、佐川グローバルロジスティクス株式会社は社内問い合わせ対応の効率化を実現しました。同社は、政府の「働き方改革」の推進を受けて、生産性向上を目指し、特に本社部門への問い合わせ対応に多くの時間が割かれていることが課題となっていました。この課題に対し、IT企画部は「RICOH Chatbot Service」を導入し、問い合わせ対応の効率化に取り組みました。
チャットボット導入の結果、問い合わせ対応の迅速化と品質向上が図られ、特に基幹システム関連の問い合わせは50%減少しました。また、運用開始から3ヶ月で平均月1,600件の高頻度利用を達成し、満足度も73%に達しました。これにより、従業員がより効率的に業務に集中できる環境が整いました。
「RICOH Chatbot Service」は、質問と回答をペアで登録するだけで運用が可能で、独自の言語認識技術により正確な回答を自動的に抽出します。この手軽さが導入の決め手となり、短期間での運用開始が可能でした。今後は、有人対応機能の実装も視野に入れ、さらなる業務効率化と満足度向上を目指しています。
事例2: 東レ建設株式会社 さま 東レ建設株式会社では、Microsoft 365の導入に際して、社内向けのヘルプデスク対応が必要でしたが、人的リソースやコストの制約から外部委託も困難な状況にありました。そこで、同社はRICOH Chatbot Serviceを活用し、問い合わせ対応の自動化を図りました。
RICOH Chatbot Serviceは、Microsoft 365関連の問い合わせに特化した機能を備えており、FAQシステムを迅速に構築することが可能です。これにより、東レ建設は新たなシステム導入時の問い合わせをほぼゼロに抑えることができました。導入準備もスムーズで、直感的なユーザーインターフェースと整備されたマニュアルにより、社内での運用が容易に行われました。
導入後、OutlookやTeamsに関する問い合わせは、ほとんどがチャットボットで対応され、直接部署への問い合わせは大幅に減少しました。これにより、通常業務に割く時間を確保しつつ、問い合わせ対応の効率化を実現しました。今後、東レ建設は人事や総務関連の問い合わせにもチャットボットを活用し、更なる生産性向上を目指しています。
※Microsoftは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※Outlookは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※Teamsは、米国 Microsoft Corporation の、米国およびその他の国における登録商標または商標です。
事例3: 西武鉄道株式会社 さま 西武鉄道の情報システム部では、社内のヘルプデスク業務の効率化を目指し、AIチャットボットを導入しました。従来のシステムでは、問い合わせに対して適切な回答が得られない場合、「回答なし」として終わってしまうことが多く、利用者数の伸び悩みが課題でした。また、システムメンテナンスには専用ツールが必要であり、作業の属人化が懸念されていました。
そこで、RICOH Chatbot Serviceを導入いただき、運用した結果、全体の約30%にあたる問い合わせをチャットボットで対応できるようになり、ヘルプデスク業務が効率化されました。このチャットボットは、適切な回答がない場合でも、質問内容をもとに優先度の高い回答候補を提示するため、利用者の満足度が向上し、利用者数も増加しました。さらに、Excelを用いた簡易メンテナンスが可能となり、システムメンテナンス時間が1/8に短縮され、属人化のリスクも低減しました。
この成功を受けて、西武鉄道は他部門へのチャットボット展開を検討しており、最終的には社内の総合的な問い合わせ窓口としての機能を期待しています。
※Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
最後に、AIチャットボットを導入する際の注意点について解説します。
●データプライバシーとセキュリティ保護
データプライバシーとセキュリティ保護は最も重要な要素です。AIチャットボットはユーザーとの対話を通じて個人情報を収集することも多いため、個人情報の適切な扱いや、関連する法令の遵守が求められます。GDPRやCCPAなどのプライバシー規制に従い、情報の収集、保存、使用に関する方針を明確にし、ユーザーに対して透明性を確保することが重要です。
●自社の要件に適した技術選定・カスタマイズ
チャットボットにはさまざまな種類があり、選択する際には自社の課題解決に必要な機能が備わっているかを確認することが求められます。また、費用やサポート体制、無料トライアルの有無も比較し、最適なソリューションを選ぶことが重要です。
●チャットボットの存在を周知する
チャットボットの存在を周知することも重要です。導入しただけでは利用者にその存在が知られない可能性があります。利用者にチャットボットの利便性を理解してもらうためのプロモーション活動や、利用方法の説明など、積極的に活用してもらえるように促しましょう。
●専門人材の採用や専門リテラシーを高める
専門人材の採用や専門リテラシーの向上も重要な要素です。AI技術は急速に進化しており、専門知識が不足していると効果的な活用が難しくなります。AIの導入にはデータサイエンティストやAIエンジニアなどの専門家が必要であり、専門業者に活用をサポートしてもらうことも一つの選択肢です。これにより、AIチャットボットの導入を成功に導き、ビジネスにおける競争力を高めることが可能となります。

本コラムでは、AIチャットボットで問い合わせ業務を効率化させる方法について、詳しく解説しました。
問い合わせ対応を効率化させる方法には、さまざまな方法がありますが、日常的な社内の問い合わせから、顧客対応までさまざまな業務を自動化するAIチャットボットの活用がおすすめです。
生成AIチャットボットの導入を検討される際は、リコーの「RICOH Chatbot Service」がおすすめです。社内マニュアルや研修資料の作成、顧客・社内からの問い合わせ対応の自動化やFAQの生成と管理など、社内外向けのさまざまな業務に活用でき、業務の効率化に役立ちます。
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問合せに自動で即答できるAI活用型チャットボットサービスです。
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※Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
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