コラム COLUMN

最終更新日:2025年12月15日

チャットボットで社内問い合わせを30%削減した成功事例の紹介

社内から同じような問い合わせが何度もくる場合、その都度対応して、本来の業務に集中できずに非効率さを感じているケースも多いのではないでしょうか。そのような社内問い合わせを削減するためにチャットボットを活用したことにより、削減効果が得られたケースが多くあります。
そこで今回は、チャットボットで社内問い合わせを削減させる方法を、成功事例とともにご紹介します。

1. 社内問い合わせを削減する方法とは - 注目を集めるチャットボット活用のメリット

在宅勤務をはじめとしたリモートワークの導入などにより、社内で新たな疑問が生まれ、社員からの問い合わせ数が大幅に増えている企業も多いのではないでしょうか。昨今は働き方改革の推進により、問い合わせ業務を効率化させることが重要となっていることから、社内問い合わせ対応をできるだけ削減し、生産性を上げる必要があるでしょう。

社内問い合わせを削減するには、「FAQシステム」の活用や「チャットボット」の導入などの方法があります。FAQシステムは、よくある質問に対する回答をまとめ、検索できるようにしたシステムで、導入している企業は多いですが、実際に運用してみると課題は多くあります。例えば、ユーザーが膨大な項目の中から自分で質問と回答を探す手間があり、結局、直接、電話やメールで問い合わせたほうが早いとなり、活用がされないといった課題があります。

このような課題を解決し、社内問い合わせ対応に最適なツールとして、チャットボットが注目を集めています。 チャットボットを活用することで、問い合わせする社員はFAQと比べてより簡単に問い合わせが可能になります。チャットボット上で該当の項目を選択、もしくはフリーワードを打ち込むことでロボットが自動回答してくれるので、質問を探す手間が省け、社員が利用しやすくなります。

2. 社内問い合わせが減らない主な原因

社内問い合わせがなかなか減らない背景には、特定の部署の担当者の負担増加だけでなく、企業全体の生産性低下につながるさまざまな原因が潜んでいます。

ナレッジの属人化と共有体制の問題

特定の担当者や部署(総務、人事、情報システムなど)にのみ情報や対応ノウハウが集中し、他の社員が必要な情報にアクセスできない状況です。マニュアルやFAQが存在しても、情報が古かったり、どこに保管されているか分からないため、結局人に聞いてしまう「知識のサイロ化」が発生しています。この問題を解決しない限り、問い合わせを減らすことは困難です。問い合わせの内容が多岐にわたるほど、属人化の状況は深刻化します。

自己解決を妨げる環境と検索性

問い合わせる側の社員が「自分で調べるよりも、人に聞いた方が早い」と感じる状況になっていることが大きな原因です。整備されたFAQやマニュアルがあっても、検索性が低く、欲しい情報にたどり着くまでに時間がかかると、社員は検索することを諦め、有人窓口に流れてしまいます。また、更新頻度が低いナレッジベースでは、提供される内容が現状と異なり、かえって混乱を招きます。

問い合わせフローの複雑化と窓口の乱立

問い合わせ内容によって窓口(部署、チャネル)が異なり、社員が「誰に、どこに聞けばいいか」を判断できない状況です。電話、メール、内線、チャットなど複数のチャネルが混在することで、対応担当者側でも管理が煩雑になり、回答の品質が不安定になるという悪循環を生みます。この問題への対策として、対応の一本化が求められます。担当者はコアな仕事に集中するためにも、定型的な質問を減らすことが重要です。

3. 社内問い合わせ削減にチャットボットが注目されている理由

では、なぜ社内問い合わせの削減に、チャットボットが注目されているのでしょうか。その理由をご紹介します。

●社内の問い合わせ対応工数の削減につながる

チャットボットを導入することで、これまで電話やメールでの問い合わせ対応をしていた分を、チャットボットで吸収することができれば、問い合わせ対応工数が減ります。その結果、これまで問い合わせ対応を行ってきた担当者が、コア業務に専念できます。

●社内の問い合わせ対応品質が均一化できる

チャットボットは、同じ問い合わせ質問に対して、まったく同じ質問を返すのが特徴です。これは人間と異なる点です。つまり、人間が対応していたときよりも、対応品質の均一化が図れるのが大きなメリットといえます。

●社員の問い合わせハードルが下がる

社員がちょっとした疑問を生じた際に、わざわざ電話をして問い合わせをするまでもないようなことも、チャットボットなら「対ロボット」である点、24時間365日問い合わせができる点などからハードルが低く、気軽に問い合わせができるので、問い合わせが促進します。より悩みが解決しやすくなれば、社員の業務効率も上がります。

●自分で回答を引き出せることでより満足度が高まる

チャットボットを用いて自分が求める回答を自ら引き出し、自己完結できることが多ければ、担当者に聞くよりも満足度は上がると考えられます。また「こんなに簡単に、即座に分からないことが解決できた」という体験を積み重ねることで、社員の満足度も向上すると考えられます。
チャットボットで回答できなかった質問については、スムーズに担当者が引き継ぐ流れを作っておけば、満足度はキープできるでしょう。

●社員の本音を拾える/社内ナレッジの蓄積につながる

チャットボットは会話ログを取得することができ、運用担当者は随時閲覧できます。どんな質問がきているのか、またどんな解決がなされたのかをチェックすることで、社員の不明点やニーズを知ることが可能です。また、社内の問い合わせ履歴をナレッジとして蓄積していくこともできます。
4. 社内向けにチャットボットを導入する際のポイント

社内向けに、チャットボットを導入する際には、ぜひ押さえておきたいポイントがあります。主なポイントを5つご紹介します。

●導入目的に応じて適したチャットボットを選ぶ

チャットボットの導入時には、導入目的や予算に適したチャットボットサービスを、よく比較選定することが重要です。例えば、社内のヘルプデスクの用途で利用する場合は、一問一答で手軽に導入できる辞書型チャットボットが最適といえます。

●既存FAQからQ&Aを作成する

チャットボットの種類が辞書型であればまずQ&Aデータが必要ですし、AI型であれば、まず学習データが必要になります。スピーディーかつ効率よくチャットボットを導入したい場合、既存のFAQがあれば、そこからQ&Aを作成するのがおすすめです。もともと業種別のQ&Aテンプレートを用意しているチャットボットサービスもありますので、それを利用すればスピーディーかつ手間なく始められます。

●社内にチャットボットの導入メリットを周知する

社内チャットボットの失敗事例として、利用メリットの周知がされていなかったというケースがあります。「チャットボットを導入しましたので、社内問い合わせに利用してください」と言うだけでは、社員による利用はなかなか促進されないものです。「チャットボットを利用すると、従来と比べてこんなメリットがあります」ということをしっかりと周知することで利用促進につながります。

●Teams等の社内ツールと連携させる

チャットボットサービスの中には、Microsoft Teamsのチャット機能と連携できるものもあります。もし業務にTeamsを利用しているのであれば、社員がチャットボットを気軽に利用しやすくなります。

●利用マニュアルを作成する

チャットボットを社内に導入した後、利用がされない場合、社員にとって「使い方が分からない」というケースもあります。その場合、利用マニュアルを作成して配布する方法もあります。
5. 【成功事例①】チャットボットを活用した社内問い合わせ削減方法

チャットボットが社内問い合わせ対応削減に有効であるということは、成功事例からも知ることができます。
鉄道事業を展開するある会社は、情報システム部のヘルプデスク業務の効率化を図るべく、チャットボットを導入しました。しかし、初めに導入したチャットボットは、回答精度が低いなどの理由で社員の利用頻度が下がっていました。
そこでリコーのチャットボットを導入したところ、社員からの質問に合うものが無くても、その質問に近い回答候補を順に挙げていくといったように回答精度が高かったことから、社員の利用率を上げ、導入後、わずか3ヶ月でヘルプデスク業務を約30%効率化することができました。

また、導入したチャットボットは、システムメンテナンスも楽に行えるため、従来は丸1日、8時間程度要していた作業が、導入後はおよそ8分の1の1時間で完了するようになり、メンテナンス作業が1/8に短縮するという業務効率化も実現しました。

導入後わずか3ヶ月でヘルプデスク業務を30%効率化!チャットボット導入事例のご紹介チャットボットの導入事例19選!業界別の事例や導入手順・費用も解説

6. 【 成功事例② 】 teams に特化した社内ヘルプデスクをチャットボットが完全代行

もう一つ、ある大手建設・不動産会社の事例をご紹介します。同社はグループ会社共通のコミュニケーション基盤としてMicrosoft 365を導入した際に、システム部門でユーザー向けヘルプデスクを創設しようとしたところ、人的リソース不足とコスト不足の課題に直面しました。そこでリコーのチャットボットを社内ヘルプデスクとして導入しました。

Microsoft 365のうち、稼働しているOutlookとTeamsに関する問い合わせをチャットボットで受け付けるようにしたところ、ほぼ100%の問い合わせをチャットボットが代行することに成功しました。

成功要因としては、「Microsoft 365データ同梱サービス」によって、Microsoft 365に特化したFAQシステムを素早く構築したことが挙げられます。このサービスはリコーのチャットボットサービスの中でも、オプションサービスとして提供しているもので、OutlookやTeams、OneDriveなど、Microsoft 365ツールの操作方法などに関するFAQデータをあらかじめ搭載しているため、スピーディーにMicrosoft 365のヘルプデスクとして機能させることができます。また、通常のWebページへのチャットボットの埋め込みに加えて、Teamsチャットボットなどへの埋め込みも可能であるため、より問い合わせがしやすいのが特徴です。

チャットボットをMicrosoft 365データ同梱サービスと組み合わせて導入することで、チャットボットが社内ヘルプデスクを完全代行できた好例です。

新規システム立ち上げ時の社内問い合わせがほぼゼロに!チャットボット導入事例のご紹介

7. チャットボット導入時の手間の削減も重要

成功事例からも分かる通り、チャットボットを導入することで、社内問い合わせ業務の削減が可能となります。一方で、導入時にかかる手間や人的コストについて検討することも重要です。

チャットボットで社内問い合わせ対応を行うためには、初めにFAQを用意する必要があります。そして、それをチャットボットに読み込むには、そのチャットボットに合わせたフォーマットで作成する必要もあります。例えば、ユーザーからくる質問に対してどのような選択肢を提示し、その選択によって、どのような回答を示すのかといったように、回答までの道筋のシナリオを準備する必要のあるチャットボットもあります。

その点、RICOH Chatbot Serviceであれば、シナリオの登録は使い慣れたExcelで簡単に行うことができ、Q&Aテンプレートもあるので、質問や回答を検討する手間も大幅に削減することが可能です。そのため、導入の手間やそれにかかる人的コストも低減することができます。

8. 社内問い合わせ削減でチャットボットを導入する際の注意点

チャットボットは問い合わせを減らすための強力な対策ツールですが、導入方法を誤ると、かえって社員の不満を招き、ナレッジの更新や管理が大きな負担となってしまう問題があります。

導入目的の明確化とスモールスタート

「何のために導入するのか」「誰の負担を軽減したいのか」という目的を明確に把握することが重要です。漠然と全社導入を目指すのではなく、まずは特定の部署(例:情シス)や特定の内容(例:PCに関する問題)に絞ってスモールスタートし、効果を検証しながら範囲を拡大する方が成功しやすい状況を生み出します。

回答内容の継続的な更新と改善サイクル

チャットボットの回答内容は、法更新や社内規定の変更、季節的に発生する問題などに応じて、常に最新の状況に保つ必要があります。この仕事を誰が、いつ、どのように行うかという運用体制を事前に構築しなければ、回答の精度が落ち、「使えないツール」と判断されてしまいます。チャットボットが収集した分析データをもとに、定期的にナレッジを更新し、回答精度を向上させる対策が不可欠です。

定着化のための戦略とコミュニケーション

新しいツールを導入する際、社員への周知を徹底し、「仕事の仕方が変わる」ことを理解してもらう必要があります。単にツールを置くだけでなく、「このツールを使うことで、あなたの負担が軽減され、より早く仕事が進む」というメリットを明確に伝えることが、定着化に繋がります。チャットボットで対応できない内容については、有人対応へのスムーズな連携フローを整え、社員が孤立しない状況を作ることが重要です。

9. AIチャットボットでの社内問い合わせの削減例

AIチャットボットの登場は社内問い合わせ業務の軽減と効率化に大きく貢献しています。以下で3つの問い合わせ削減例をご紹介します。

発生頻度の高い定型的な質問の自動化

AIチャットボットが最も効果を発揮するのは、発生頻度が高く、回答内容が定型化されている問い合わせです。例えば、「有給休暇の残日数」「経費精算の方法」「PCが起動しないときの初期対策」「社内システムへのログイン方法」などです。これらは問い合わせ全体の約30%〜40%を占めることが多く、これらの内容を自動化するだけで、担当者の負担は大幅に軽減されます。

複数情報源からの回答の集約

社員が知りたい内容は、人事、総務、情シスなどさまざまな部署にまたがっています。チャットボットは、これらの部署が保有するマニュアルや規定を横断的に検索し、最適な回答を瞬時に提供できます。これにより、社員は問い合わせ先を把握する必要がなくなり、担当者は問い合わせを振り分ける仕事から解放されます。

問い合わせ内容の分析と活用

チャットボットの導入により、どのような内容の問い合わせが、いつ、どれくらい発生しているかのデータを正確に把握できるようになります。この分析結果は、マニュアルの更新が必要な箇所や、問い合わせが集中する根本的な問題点の特定に役立ちます。継続的な対策を講じることで、問い合わせを恒常的に減らすことが可能となります。

関連コラム
無料デモ実施中!RICOHチャットボットサービス 月額1.8万円~ 詳細はこちら 1アカウント契約のみで利用可能 ChatGPTの業務活用 セキュリティ・運用の課題を解決 詳しくはこちら

人気記事ランキング

RICOH Chatbot Service 製品サイト 導入かんたん 運用らくらく 詳しくはこちら

お問い合わせ