チャットボットの市場シェアは?
AI型のシェア率が高い理由についても紹介
チャットボット市場の急成長はめまぐるしいものがあります。ここ5年ほどで大幅に市場規模が拡大しており、矢野経済研究所が発表したデータによると、2022年の市場予測は132億円といわれており、また株式会社グローバルインフォメーションが発表したデータによると、2028年には約1兆8,000万円に達するといわれています。
チャットボットの市場規模は近年、増加しており、今後も増加の見通しがあります。
2018年に矢野経済研究所が発表した「対話型AIシステム市場に関する調査」によると、2020年の事業者売上高ベースによる国内対話型AIシステム市場規模は87億円まで拡大すると予測されています。また2021年は112億円、2022年の同市場規模は132億円になると予測されておりました。また株式会社グローバルインフォメーションが発表したデータによると、2028年には約1兆8,000万円と引き続き市場規模は成長するといわれています。
出典:株式会社矢野経済研究所「対話型AIシステム市場に関する調査(2018年)」(2018年8月20日発表)
引用:株式会社グローバルインフォメーション「チャットボットの世界市場の予測(~2028年)、分析:コンポーネント別、展開別、タイプ別、用途別、組織規模別、用途別、地域別」
対話型AIシステムが国内で登場してきたのは2016年頃といわれており、2017年は11億円と予測されています。つまり、2017年から2028年までの約10年間で11億円から1兆8,000億円という、約1,000倍以上拡大を見込んでいることになります。
対話の方法はテキストが中心ですが、今後は、音声による対話型AIシステムも拡大していくと見られています。とはいえ、テキストにしても、音声にしても、対話型AIシステムが人間と同等レベルの自然な対話を行うことはまだむずかしく、コストも膨大にかかるといった現状があります。今後は、AIを使用した技術の発達と共に、コスト最適化も期待されます。
チャットボットの市場規模の拡大は日本だけではなく、世界的に市場規模は成長が予想されています。
世界のチャットボット市場は、2016年にFacebook、Google、Microsoftなど、世界的な大手IT企業がチャットボットのAPIと呼ばれるプラットフォームを公開してから、多くの企業が次々とチャットボットに参入しました。そこから現在にかけて急成長を続けています。今後も、成長は留まることを知らず、順調に伸びていくといわれています。
米国ではすでに1990年代に簡易的なチャットボットが存在していましたが、2011年に「Siri(シリ)」を搭載したiPhone4sがAppleによってリリースされ、音声チャットボットの可能性が広がりました。その後、2016年以降のチャットボットブームが到来しました。
チャットボットは、現在、スマートフォンアプリに実装されるようになり、メッセージアプリを中心に活用が積極的に進んでいます。チャットボットの普及は、このスマートフォンアプリへの搭載も市場拡大を牽引する要素といわれています。
なぜ、チャットボットの市場規模がここまで拡大しており、注目されているのか、普及が進む背景や注目される理由を見ていきましょう。
「働き方改革」の推進
国による働き方改革の推進にあたり、長時間労働を減らす目的などの業務効率化が急務となり、チャットボットは社内外の問い合わせ対応の工数を減らすなどの対策ツールとして利用されるようになりました。AI・自動化などのDXの波
DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される中、AIやRPAなどの自動化技術もどんどん進化し、より業務の中に取り入れられるようになりました。SNSのチャットボットのプラットフォームの利用も増加
LINE等の利用率がメッセージツールをプラットフォームとするチャットボットも増えており、より利用者も提供側も身近な存在になりました。また、社内においてはマイクロソフトのファイル共有・情報共有ツールであるSharePoint(シェアポイント)にチャットボットを埋め込んで利用するケースもあります。コロナ禍の影響による非接触・非対面の必要性
2020年からの新型コロナウイルス感染症拡大を受け、非接触・非対面の接客対応は重要になりました。オンラインにおけるコミュニケーションツールの一環として利用が増加しました。
チャットボットは、日本において導入が進んでいますが、特にAI搭載型のチャットボットのほうがシェアが高いことがわかっています。その理由として、次のことが考えられます。
人間との会話のような雰囲気を作ることが可能
AI搭載型チャットボットは、フリー入力に対応しているため、会話しているような雰囲気をつくり出すことができます。特にB to Cサービスにおいては、顧客がチャットボットを利用しながら人が対応しているかのような親しみやすさや安心感を演出できることはメリットと言えます。
ユーザーの入力した言葉のニュアンスを汲み取りやすい
AI搭載型は自然言語処理を活用しているため、ユーザーごとのニュアンスの違いにも対応できます。例えばECサイトの問い合わせをしたいときに「配送日数」「どのくらいで届く?」「配送の期間」などの表記の違いは、AI非搭載型チャットボットでは判別するのがむずかしいですが、AI搭載型チャットボットであれば、いずれも配送日数が知りたいという意図を汲み取って回答を返すことができる可能性が高いです。
幅広い回答ができる
機械学習によって蓄積されたデータを用いて回答を返すAI搭載型は、幅広い回答ができます。そうすると、特に社外ユーザー向けの用途においては、より安心して対応を任せられるようになるでしょう。
利用頻度が高まるほど成長させられる
AI搭載型は、ユーザーとのやりとりを随時学習するため、利用頻度が高まるだけ、ユーザーに即したチャットボットに成長させていくことができます。メンテナンスは必要ですが、自動的に成長する仕組みがあることで、長い目で見れば、工数削減につながるでしょう。
競合他社との差別化
AI搭載型は、チャットボットの中でも現時点で先端技術を用いているため、競合他社との差別化につながります。より便利で回答精度が高い設計にすることで、顧客などのユーザー評価が上がるでしょう。
AIチャットボット導入を成功させるには、多くの効果だけでなく、事前に潜在的な課題と具体的な対策を把握し、適切に対処していくことがポイントです。
回答精度と運用による改善の課題
最も大きな懸念点は、自動応答の精度に関わる部分です。AIは学習データに基づいて回答するため、データの質が低い場合や、学習量が不足している初期段階では、お客様の質問に対して適切な解決策を提案できないことがあります。これに対する対策のポイントは、まず少量のデータでスモールスタートし、運用しながら専門チームが回答の精度を継続的に改善していくことです。初期の低精度でお客様体験を損なわないよう、運用体制と改善サイクルを確立することが重要です。
料金体系の複雑さとコスト管理の課題
次に、料金体系の複雑さも懸念される点です。チャットボットの利用料金は、メッセージ数や対応ユーザー数に基づく従量課金となるケースがあり、問い合わせの急増によって予想外のコストが発生する可能性があります。対策として、導入前に自社の過去の問い合わせ傾向を分析し、最適なプランを比較検討することが欠かせません。契約前に自社のニーズに合った課金モデルを見極める必要があります。
有人対応への連携と顧客体験の課題
AIチャットボットは万能ではないため、複雑な問い合わせや感情的な対応が必要な場合には、AIでは解決できない課題として残ります。この課題を解決するには、必ず有人支援へスムーズに切り替わる導線(ハイブリッド運用)を設計することが必要です。お客様体験の質を維持するため、AIと人による支援の連携をシームレスにし、利用者の満足度を高める効果的な仕組みを提案することが鍵となります。
チャットボットの普及の波はとどまるところを知らず、未だに市場は拡大しています。実際、どのような業界やシーンに導入されているのでしょうか。特に、チャットボットのシェアが高いといわれる業界をご紹介します。
飲食業界
人手不足がいわれる中、お客様からの問い合わせ対応やオーダー、スタッフ教育のシーンで利用されています。美容業界(ファッション・コスメ)
お客様からの問い合わせ対応や接客ツールとして、また商品のPRとしても活用されています。旅行・観光業
旅行の予約や情報提供、問い合わせ対応といったあらゆるシーンで利用されています。金融業
主にお客様からの問い合わせ対応やサポートに利用されています。ITサービス業
主にお客様からの問い合わせ対応やサポートに利用されています。不動産業
主にお客様からの問い合わせ対応や接客対応に利用されています。運送業
主にお客様からの問い合わせ対応や接客対応、再配達依頼などに利用されています。自治体
主に住民からの問い合わせ対応や各種申請などの代行に利用されています。業界問わずバックオフィス業務
社内からの問い合わせ対応やヘルプデスク、会議室などの予約管理、採用用途としての内定者や新人とのコミュニケーション等、幅広く利用されています。チャットボットの部署/業種別活用シーンはこちら チャットボットの導入事例19選!業界別の事例や導入手順・費用も解説
導入のステップ
チャットボット導入は、単なるツールの導入ではなく、業務プロセス全体の改善と捉えることが成功のポイントです。まず、「誰の、どのような課題を解決したいのか」という目的を明確に設定します。例えば、「夜間や休日のお客様サポートを自動化し、従業員の負担を軽減したい」など、具体的なニーズに基づく目的設定が重要です。次に、複数のチャットボットサービスを比較し、自社の目的を達成できる機能(例:有人支援機能、AIの学習能力)と、予算に見合う料金体系を持つものを選択します。導入後は、FAQデータや応対履歴をAIに学習させ、運用テストを繰り返しながら、回答精度を高めていく改善サイクルを確立する必要があります。
評価基準(KPI)の設定方法
チャットボットの効果を正しく測定するためには、導入前に具体的な評価基準を設定することが不可欠です。主要な評価基準として、解決率(チャットボットのみでお客様の質問が解決した割合)、エスカレーション率(有人支援に切り替わった割合)、応答率(チャットボットが応答できた割合)などが挙げられます。これらの指標を定期的に計測し、目標値と比較することで、チャットボットの運用状況を客観的に把握し、次の改善策を提案できます。
近年生成AIが台頭しており、チャットボットに搭載されるケースも増えています。以下では生成AIが与えるチャットボットへの影響について解説します。
生成AIによる精度の劇的な改善
近年、ChatGPTなどの生成AI(LLM)が登場したことで、チャットボットの市場構造とシェアは劇的に変化しつつあります。従来のAIチャットボットは、学習させたデータセット内の質問にしか回答できず、汎用性や応用範囲に課題がありました。しかし、生成AIは膨大な知識をベースに自然な文章を生成できるため、文脈を理解した柔軟な会話や、複雑なニーズへの対応が可能になり、チャットボットの自動応答精度を飛躍的に高めています。この進化により、生成AIを搭載したチャットボットが急速に市場シェアを拡大しており、未搭載の従来型モデルは競争が厳しくなっています。
市場競争の変化と新たな導入ポイント
生成AIの登場は、チャットボットの導入ポイントを「AIの学習コスト」から「ナレッジベースの構築と運用のしやすさ」へとシフトさせています。企業は、外部の生成AIと連携させることで、短期間で高い回答精度を実現できるようになりました。これにより、市場における競争軸は、AIの基本性能の比較から、お客様サポートへの統合のしやすさ、セキュリティ機能、そしていかに有人支援との連携がスムーズであるか、という点に移っています。生成AIを活用したチャットボットは、問い合わせ対応の効果だけでなく、お客様のニーズの分析や新しい提案生成といった、高付加価値な業務への貢献が期待されています。
チャットボットは近年、市場規模が拡大しています。コロナ禍でさらに急速に拡大したと見られており、今後も業務効率化を図りながら、人と企業をつなぐコミュニケーションツールとして普及されると考えられています。またAIなどのテクノロジーが進化など、技術の発展と共に、利用されるシーンも場所も増えていくでしょう。いち早く取り入れることで、チャットボットの精度を早く高めることができます。
チャットボットの機能やサービスの充実、精度を高めることで、顧客満足度の向上、新たなビジネスの創造にもつながり収益の拡大・企業成長など様々な可能性が期待できるでしょう。
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